ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2015.07.01
最良のプロセスを経ても、必ずしもうまくいかないのが現実のビジネスである。重要なのは、うまくいかなかったときに「何がいけなかったのか」を正しく認識し、経験を学びに変えることだ。「最初から無理だと分かっていた」「あのとき、自分の考えの通りにしていれば成功したはずだ」といった考えからは何も学べない。自分やチームの仕事を冷静に振り返るために必要なものは何なのだろうか。
ファッション雑誌を発行する出版社で企画のリーダーを務めるAさんは、「新興ブランドの紳士靴特集」という企画で特集記事を担当した。Aさんはこの企画に自信を持っていたが、期待は外れ、雑誌の売れ行きはイマイチであった。
今回の企画は、 編集長からの「あまり知られていないブランドで特集を組みたい」という要望にもとづいて練ってきたものだった。「そもそも、新興ブランドで特集を組むという編集長の要望がそもそも的外れだった」。これまでの経過を振り返って、Aさんはそう思った。
ところが翌月、他社の雑誌で「新興ブランドの鞄特集」というよく似た企画が組まれ、売れ行きは好調だった。「自分の企画の何がいけなかったのだろう?」。Aさんは頭を抱えた。
過去の仕事は自分自身を向上させるための格好の材料である。成功体験はもちろんのこと、失敗した経験にこそ大きな学びが隠されている。意思決定でも同様で、一連のプロセスを振り返ることで、今後に役立つ学びを得ることができる。
しかしながら、失敗した経験を振り返ることはなかなか難しい。つい自分に甘くなり、本当の原因を見誤りがちになるからだ。先の事例でAさんは、失敗の原因を編集長に求めているが、これは失敗の原因から眼をそらし、他者に責任転嫁をしているにすぎず、このような姿勢では失敗から学ぶことは難しい。
意思決定のプロセスを振り返るには、「日記」をつけて日々の意思決定プロセスを記録しておくことが有効だ。
例えば、先の事例では、失敗の原因は、新興ブランドの調査範囲が日本国内に限られ、海外ブランドの調査がおろそかになったという「情報収集」にあったかもしれない。あるいは、紹介する新興ブランドを決める会議で特定のメンバーの意見を重視しすぎたという「結論の導出」にあったかもしれない。意思決定のプロセスごとに、いつ誰と何をしたかを具体的に記録しておくことで、後で振り返ったときにその結果をもたらした真の原因を見つけやすくなる。
ここで、振り返りのときに気をつけるべきものに「後知恵」というものがある。…
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林 きのこ/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)
1981年生まれ、京都大学工学部卒。米国研究開発型ベンチャー企業の研究マネジャー。新エネルギー開発プロジェクトを担当する一方で、経済や環境技術関係のコラム執筆も行なう
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