仕事や勉強を、やる気が出ないことを理由に、つい先延ばしにしていませんか?まずは、仕事や勉強の「やり方」をきちんと知っているかを振り返ってみて、自分のレベルに合ったハードルを設定することが大切。やみくもに手を出して失敗を繰り返せば、やる気そのものが枯渇してしまいます。
そもそも「やり方」を知っているか?
仕事や資格取得に取り組みたいけれど、なかなかその1歩を踏み出すことができない。そのような場合、「やり方そのものが分からない」のか、「やり方は分かっているけれど、やる気が出ない・続かない」のか、大きく2つのケースにわけられます。
もし「部下や後輩が、やる気を出さない」と悩んでいる場合は、「やり方をきちんと伝えることができているか」を振り返る必要があるかもしれません。上司や先輩が「このくらい、伝えなくても分かるだろう」とか「常識で判断できるだろう」と思い込み、詳細を伝えていないことが原因となっている場合があります。
何年もかけて培われた職場の常識などは、新人には理解できないことがありますし、世代ごとにその常識そのものが異なっている場合も少なくありません。伝えるべきことをきちんと説明し、部下が本当に理解したかどうかを、逐次確認しながら指導することが肝心です。
これは、自分自身のやる気が出ない場合にも、一度は振り返っておきたい点です。たとえば、海釣りをしたい、とか富士山に登りたいと思った時、ただ漠然と思っているだけでは、何時までも行動を起こすことはできません。まずはその「やり方」を調べることから始めましょう。最近はインターネットでも情報収集できますし、身近にその趣味を持つ人がいれば、どんな道具が必要で、肉体的なトレーニングが必要かなども具体的に聞くことで、やる気も湧きやすくなります。
自分のレベルにあわせたハードルを設定する
一方で、あまりに自身の能力からかけ離れたハードルを設定していなかったかをチェックすることも必要です。
かつてTVで放送された『ドラゴン桜』というドラマ(TBS、2005年)は、偏差値36の生徒たちを東大合格のための特進クラスで指導する、というストーリーでした。…
古文や漢文を「訳が分からない」と敬遠する生徒たちに、漫画を読んで時代背景を掴むことから指導することで生徒の興味を惹く、というテクニックが使わる場面がありました。
また、数学の指導では小学校5年生の問題を解くことから始めていました。どんなに教えている内容が素晴らしかったり、高度であったとしても、生徒たちが理解できなければ意味がないのだということを、よくあらわしている例だといえるでしょう。
現実でも、未知の分野の勉強をしたいときには、『マンガでわかる統計学』ですとか、『マンガはじめて社労士』などの本がありますから、ぜひ活用していきましょう。
また、体力的・時間的・経済的にも、無理なハードルを設定していないか振り返ってみて下さい。たとえば、これまで8時間の睡眠をとっていた人が、突然睡眠時間を4時間にして、自己啓発の時間を作ったとしましょう。体力的に無理があることは容易に想像できますし、きっとすぐにやる気が枯渇してしまうでしょう。このような無理をしていなかったかどうかを、一度振り返ってみましょう。
他のことに気を取られて集中できない時は?
仕事や勉強以外に気になることがある場合は、気になっていることを解消してしまうのも一つの手です。
たとえば、身のまわりのことが整理できていない場合、いざ仕事に取り掛かろうとしても、ペンやノート、資料が見つからないといった事態になりかねません。この状態を解決するためにも、まず整理整頓に取り組むことが大事です。
また、気になることを、気にしないようにすることも有効です。これは決して「気になるということ=悪いこと」と言いたいのではありません。人間は、何かを気にする時、実は同時に、他のことを気にしないという選択もしています。たとえば、仕事をしながら昼食の事を考えている人の場合、昼食のことを考えている瞬間は、一瞬であっても仕事への意識が薄れていることは事実です。このように「今、やるべきこと」から意識が離れている時間が、「気になること」へ意識が向いている状態といえるわけです。
「気になることを、気にしない」とは、このような状態になっている時間をできるだけ少なくし、短時間で「今やるべきこと」を終わらせましょうということです。
とはいえ、家族が急病で経過が気になっている状態など、「気になること」が非常に重大な何かであるときは、「気にするな」というほうが無理です。そんな時は、「気になっている」家族が回復するまで仕事や勉強を休むという選択をすべきかもしれません。
やる気ではなく「行動」に目を向ける
それでもやる気が出ないのであれば、少し乱暴に感じるかもしれませんが、「目的達成のために行動しなければいけないから、行動する」というのも一つの方法です。あえてやる気の有無を無視してしまうわけです。
この考え方は、日本の精神科医である森田正馬が創始した治療法「森田療法」で重視されている事実本位・行動本位の生活態度に基づくものです。
この考え方に基づくと、やる気が出ないことが、「やらない理由」ではなくなります。目の前にやるべきことがあれば、気分がどうであれ、そのことに集中できます。この方法を自然に使うことができるようになれば、気分に振り回されることなく、自発的に行動を起こすことができるようになっているはずです。
今回は「できない理由」に着目し、それを失くしていく方法を中心にご紹介しました。できない理由を克服し、やる気を出すことに成功してからも、モチベーションの維持にはさまざまな努力が必要です。またいつか、その点についてご紹介できればと思います。
※掲載している情報は、記事執筆時点(2015年2月20日)のものです。