いよいよ梅雨時……ゴルファーにとっては厄介な季節の到来です。ゴルフの日が雨だとガッカリする人も多いと思います。しかしゴルフは自然の中で行うもの。雨の日はコース攻略こそ難しくなりますが、雨の日ならではのポイントをいくつか押さえれば、いつもとは違う楽しみ方を発見できます。今回は、雨の日のゴルフを考えてみましょう。
最後の「グリーン上でボールが止まりやすくなる」こと以外は、ゴルファーにとってよいことは何もありません。やはり晴れた日と比べると、どうしてもスコアは悪くなります。こういうときは、大崩れしないことに注力しましょう。そこで、可能な限りスコアを落とさないための5つのポイントをお伝えします。
ポイント1:コンパクトスイングを心掛ける 雨の日は2つの要因で飛距離が落ちます。1つは、打ったボールが転がりにくく(ランが出にくく)なります。もう1つは、気温が低いので体が冷え、さらにレインウエアを着込むとどうしても体が動きにくくなります。ですから、飛ばないからといって無理に飛ばそうとせず、コンパクトなスイングを心掛けてください。
例えば、こんな工夫があります――。つまり、飛距離よりもミート率を高めることに徹する、ということです。
●クラブを1センチ程短く持つ
●普段よりスタンスは狭くする
●ハーフスイングと感じるぐらいのスイングでOK
ポイント2:普段よりクラブの番手を上げる 雨の日は飛距離が落ちる前提で、クラブの番手を1~2番手大きくします。多くのアベレージゴルファーは、番手ごとの飛距離を、ランも含めた距離で把握していることと思います。
例えば、7番アイアンを使う際に自分の飛距離が140ヤードと考えている人は、キャリー(打ってからの到達地点)が130ヤード、ランが10ヤードでトータル140ヤードというように把握しているでしょう。もちろん個人差があり、弾道が高い人はランが少なくなり、弾道の低い人はランの割合が大きくなります。
ポイント1でも触れたように、雨の日はランの距離が少なくなります。ましてや、地面がぬかるんでいるとボールが落下の勢いで地面に食い込み、ランがまったく出ないというケースもあります。また、雨の抵抗でキャリーも落ちます。こうした変化を見越して、キャリーを稼ぐために大きめのクラブを選択することが大切なのです。
ポイント3:クラブはマメに拭く クラブ、特にグリップ部はぬらさぬように、移動の際はグリップ部が傘の中に入るように持ちましょう。グリップ部を上にして傘の中に入れ、ネック部を傘の柄と一緒に持つとよいでしょう。
しかしながら、そのように気を付けてもクラブはどうしてもぬれてしまいます。よって雨の日に常備したいのはクラブを拭くためのタオルと洗濯挟み。少々面倒ですが、打つたびにタオルでクラブを拭くだけでも、正確なショットを打つ助けになります。タオルは傘の骨にひっかけておけば、邪魔になりません。洗濯挟みは、その際、傘の骨からタオルが落ちないようにするための工夫です。
ポイント4:グリーンの感触をつかむ 雨の日は、ピンポジションがグリーンの高い所に切られることが多いです。これは、カップ付近に水がたまらないようにするための処置です。グリーンは奥が高くなっているケースが多く、必然的にピンポジションは奥になります。これもポイント2で述べた、クラブの番手を上げる理由の1つです。一方で、ピンポジションが高い所に切られる分、パッティングの難易度は高くなります。
グリーン面がぬれているため、ボールを転がそうにも思うようには転んでくれません。晴れた日とはまったく異なるタッチが要求されると考えた方がよいでしょう。ただし、グリーンが重い分曲がり方は少なくなりますし、下りのパットでも思い切って打てるという利点もあります。いずれにせよ、晴れた日の感覚を修正するためにも、当日の練習グリーンではしっかり感触をつかんでおきましょう。
ポイント5:雨天装備でやる気をキープさせる グローブは全天候型を使用、ぬれたら取り換えられるよう多めに持参しましょう。ぬれ具合にもよりますが、ハーフの折り返しで着替えられるよう予備のウエアや靴下も持参しましょう。
レインウエアは総じて値段の高いモノの方が性能は良いです。高いモノは、防水性能が優れているだけでなく、通気性にも優れて蒸れにくくなっています。質の悪いレインウエアで、雨は防げても蒸れて汗だくになり、汗びっしょりになっては不快感が高まり、やる気もうせてしまいます。快適な服装はやる気を維持し、プレーに大きく影響します。故にレインウエアは慎重に選びましょう。
ほかには、防水(耐水)性のシューズやレインキャップ、防水スプレーなど、各種の雨対策グッズがあります。ゴルフショップに行けばほとんどそろえられるので、店員のアドバイスも受けながら購入しましょう。
雨の日ゴルフの真の敵は?
諸条件が悪くなる雨の日のラウンドのポイントをお伝えしましたが、雨の日にスコアを落とす最も大きな要因は、実は飛距離でもグリーンでもありません。ポイント5でも触れている「気持ち」です。
雨の日に条件が悪くなるのは、何も自分だけではありません。他のプレーヤーも皆同じです。同じ条件でプレーしているにもかかわらず、大きくスコアを崩す人がいる一方で、いつも通りに近いスコアで回る人もいます。スクールの生徒さんたちとのラウンド経験から、その差は「心のあり方」の違いが大きく影響していると私は思います。
雨の日に大きくスコアを崩す人は、「雨の日のゴルフは乗らないなぁ」「せっかくのゴルフが雨かよ!」と、嫌々コースを回っていませんか?一方、「雨が嫌だと言っても仕方ない」「雨もゴルフの条件の1つ」「雨のゴルフを楽しもう!」と考えられる人は、雨の日もまた良しといつものように回れる人だと思います。
雨という、自分の力ではどうすることもできない外部環境に心が奪われパフォーマンスを落とし、楽しいはずのゴルフが楽しめなくなるのは、非常にもったいないことだと思います。先に述べた5つのポイントを押さえ、決して無理をせず、力相応にベストを尽くし、雨の日のゴルフを楽しんでほしいと思います。
ビジネスでも自分の力ではどうすることもできない逆風に見舞われることは多々あるでしょう。そんなとき、グチをこぼしたり、文句を言ったりしても、物事は好転しません。プラス発想で、力相応にベストを尽くし、その課題を乗り越えてください。難易度の高い課題も、雨の日のゴルフも、それを乗り越えた先で、自分の実力が鍛えられていることにきっと気が付くことでしょう。