ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2016.08.29
『捨てられる銀行』(橋本卓典/著、講談社現代新書/刊)という本がベストセラーになっています。これからの時代に生き残る銀行、顧客に捨てられる銀行とはどんなものかについて論じた本です。
今、多くの銀行員がこの本を読んでいるといいます。ある地方銀行では、この本を読んだ頭取が全役員にこの本を読み、感想文を書かせたという噂もまことしやかに語られるほどです。
これまでは多くの銀行員は「銀行は経済の根幹である。政府も財務省も金融庁も銀行を守ってくれるはずだ」と信じ、「自分たちが顧客から捨てられることはあり得ない」とタカをくくってきました。しかし本書は「地域の顧客にリスクをとれない銀行は消滅する」と断言しています。だからこそ、「捨てられる」という強いタイトルに銀行員に大きなインパクトを受けたのです。
これを、銀行と取引する立場から逆説的に捉えるなら、利用者も銀行を選別していかなければならない時代がやって来たということでもあります。企業が付き合いを切り捨てるべき銀行とは、付き合いを深めるべき銀行とはどんな銀行なのでしょうか。
企業が切り捨てるべきは、「(顧客のことを)何も考えていない」銀行です。残念ながら多くの銀行は、顧客よりも監督官庁である金融庁のことを考えて仕事をしています。金融庁の指示に従わなければ、業務停止命令を受ける恐れがあるからです。
半沢直樹シリーズや下町ロケットシリーズで知られる元銀行員である池井戸潤氏の作品には、個性的で人間味溢れる銀行員も登場します。しかし、そんな銀行員は銀行という組織の中では生き残れないのが現実です。銀行経営者は金融庁の顔色ばかりうかがうようになり、銀行員も経営者や上司の顔色ばかりうかがうようになってしまいました。それこそが、銀行が生き残る方法であり、銀行員にとっては出世の近道だからです。
銀行が金融庁の顔色をうかがうもう1つの理由として、「金融検査マニュアル」の存在が挙げられます。
金融庁は、バブル崩壊によって次々と不良債権が発生した頃から銀行を指導してきました。その根幹にあるのが「金融検査マニュアル」です。各銀行は、金融庁が作成したこのマニュアルに基づき、融資の判断を行うようになりました。財務情報に基づく評点を重視し、融資の可否を判断するようになってしまったのです。
そこには小説やテレビドラマのようなサプライズも人間性もありません。金融検査マニュアル通りに融資の判断を行えばいいので、銀行員が企業の将来性や社長の経営者としての能力を評価する必要など無かったのです。その結果、多くの銀行員は何も考えなくなってしまいました。
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執筆=南部 善行(studio woofoo)
1991年、関西学院大学経済学部卒業。同年、地方銀行に入行し、長年にわたり地域に密着した経済活動を支援。支店勤務では営業統括部門の責任者として経験を積む。資産運用、税務、財務など幅広い分野の経験、知識を生かし、現在は富裕層を対象に資産運用、コンサルティング業務を行う専門部署で活躍。その他、豊富な実務経験を生かし現在は不動産、相続対策など、関連分野においてフリーのライターとして活動している。
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