瀬谷の小麦ビール(平日ランチ値段Mサイズ/600円、Lサイズ/800円)
残暑の季節、仕事終わりにはビールをぐっと飲み干したくなります。出張先で、その土地のクラフトビールを見かけたら特にそう思いませんか。そこで、昼間に飲むビールと、ビールに合うランチを探しました。
今回紹介するのは、横浜・馬車道にある「驛(うまや)の食卓」というビアレストランです。開店したのは1999(平成11)年4月。ブルワリー(醸造所)が稼働したのがその年の7月で、以来ブルーパブとして営業を続け今年で20年になります。
地元・神奈川の生産者をつなぐ「驛の食卓」
驛の食卓は横浜ビールの直営店で、90年代後半に起きた地ビールブームを乗り越えて現在に至ります。数々の賞を獲得しているビールのラインアップはバリエーションが豊富。「地元のビールを地元の食材と共に地元の方々へ」という店のコンセプト通り、作り手の顔が見えるメニューづくりを続けていて来店客を飽きさせない工夫を感じさせます。
「驛の食卓」の1階はブルワリーとビアカウンター、2階がレストランになっている。ガラス越しのブルワリーをのぞきながら味わうビールは格別
ランチビールに選んだのは「瀬谷の小麦ビール」(平日ランチ値段Mサイズ/600円、Lサイズ/800円)です。このビールは、横浜市瀬谷区「岩﨑農園」の小麦を使用した純神奈川産のウィートエールで、横浜ビールが生産しているレギュラービールの1つです。失礼ながら横浜に小麦の生産農家があるとは、このビールと出合うまで知りませんでした。かつての瀬谷区は国産小麦の生産が多い地域であり、そういうことも含めて知ってほしいという農園の意思をくんで瀬谷の小麦ビールが誕生したといいます。
飲んでみると口当たりが優しく、苦味控えめ。濃い味の料理や香りの強い料理と合わせてケンカしない、食前・食中酒として最適なビールだと思います。ランチメニューからは、ビールと同じく岩﨑農園の全粒粉小麦を使用した生パスタの「王道ナポリタン」(800円)を選びました。
スープとサラダ、ソフトドリンク付きで800円の「王道ナポリタン」
玉ねぎ、ピーマン、ソーセージという定番の具材を絡めた、まさに“王道”のルックスが食欲をそそります。ビールが練り込まれているというもちもちの太麺を、フォークでクルクルっといただきましょう。
味付けの肝はトマトケチャップですが、この店のナポリタンは一味違います。横浜発国産トマトケチャップ第1号といわれる「清水屋トマトケチャップ(復刻版)」のまろやかな甘味と酸味、これに絶品ソーセージの香り、全粒粉小麦の味わいが一体となって、いつものナポリタンよりも深いコクを感じます。
さらに、ナポリタンと一緒に添えられた調味料にもこだわりが!横浜市神奈川区で1857(安政4)年から営む「岩井の胡麻油」製の「ごま辣油」です。蓋を開けてふわっとごまのよい香りが広がるごま辣油は、驚くほどナポリタンにぴったり。まぜそばや汁なし担々麺とも異なる新境地。この組み合わせは、癖になりそうです。
地元のうまい物を組み合わせて提供する「驛の食卓」。料理に使っているケチャップやごま辣油は店頭で買える
スタッフが生産現場へ出掛けて見る目を養う…
ご飯が食べたいという方にはスペシャル丼ランチがオススメ。訪れたときには「三崎君栄丸の釜揚げしらす丼」(1000円)がありました。神奈川県は三崎港のしらす漁船「君栄丸」による釜揚げしらすがぜいたくに盛られた丼です。
ノリのつくだ煮、とびこを乗せた真ん中には、横浜市都筑区にある「織茂養鶏場」の新鮮な生卵。卵を混ぜ合わせ、しょうゆを少しずつかけながらいただくのが店オススメの食べ方です。もちろんしょうゆは、1937(昭和12)年から一貫して手作りにこだわる「横浜醤油」の本醸造「よこはま」。
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生産者の思いを混然となってかき込めるスペシャル丼。黄身が濃く、箸でつかめそうに新鮮な卵が食欲をそそる[/caption]
「今日のしらすは、社長がシラス船に同行して捕ってきたものです。今度、僕もしらす船に乗って、漁に行くんですよ」とは、店長の吉田さん。しらすに限らず、現地に足を運んで生産者と時間を共有することが運営元・横浜ビール社長の考えでもあり、この店のポリシーだといいます。
実は、瀬谷の小麦ビールと王道ナポリタンに使用されている小麦も、種まきに始まり、麦踏み、刈り取りと収穫まで、農園の仕事をスタッフが手伝っているそう。スタッフ自らが生産の現場と直接交わることで食材をきちんとお客さまに届けたいという心意気は、ビールや料理の数々に感じることができます。
20周年イベントが着々と進行中
同店では、現在「横浜ビール20周年イヤー」と題して、生産者や利用客を巻き込みながら、地域を一緒に盛り上げるイベントを積極的に行っています。10月には馬車道に隣接する野毛エリアとのビールイベントも計画中だそう。横浜で地元に根付いたブルーパブを探すなら、ぜひ訪れてみてください。
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貯蔵タンクの横で出荷用の瓶詰め作業。直販の瓶ビールはここから届けられる[/caption]
※文中にある金額はすべて税込み価格です
※掲載している情報は、記事執筆時点(2019年7月)のものです
驛の食卓(うまやのしょくたく)
横浜市中区住吉町6-68-1 横浜関内地所ビル1階・2階
JR・横浜市営地下鉄「桜木町駅」出口1より徒歩5分、「関内駅」より徒歩7分
みなとみらい線「馬車道駅」1b出口より徒歩4分
平日(月曜日~金曜日)
・ランチ:11:30〜15:00
・カフェ:15:00〜18:00
・ディナー:18:00~23:00(LO22:00)
<※土日は別メニュー 土曜日:11:30~23:00(LO22:00)/日曜・祝日:11:30~21:00(LO20:00)>
045-641-9901
http://www.umaya.com