ココロ踊る!山麓生活のススメ(第28回)日本各地を巡って「水」を考える

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公開日:2024.08.26

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 水道から当たり前のように、おいしい水が出る日本の便利な暮らし。水は生活に欠かせない貴重なものであることは頭にありながらも、日常ではつい、ありがたさを忘れてしまいがちだ。今回は、日本各地を巡った最近の旅を通して、自然からの身近な恵みである水について考えてみたい。

八ヶ岳山麓に流れる吐竜の滝。この水が疎水によって導かれ、麓の田畑を潤している

 

水の貴重さを知る旅

 今年の夏は水に関連する取材で日本各地へ出掛ける機会に恵まれた。東京都の水道水源地で、多摩川の「最初の一滴」が見られる山梨県の笠取山、水質が良く「赤道を越えても腐らない水」とたたえられた名水を生む兵庫県の六甲山、そして、地下ダムの水が農業用水として利用されている鹿児島県の沖永良部島などを訪ねた。

 中でも特に印象的なのは、水の確保に苦労してきた歴史のある沖永良部島だった。取材前は、海に囲まれていて雨が多いイメージのある島で、水不足というのが意外だった。

 実際に訪れて初めて知ったのだが、沖永良部島はサンゴ礁が隆起した平たんな島で、水源となるような山らしい山がない。さらに、水が浸透しやすい地質のため、雨が降ってもすぐに地中にしみこんでしまうのだという。昔は限られた場所で得られる地下水をくみ、運び上げて生活していたそうだ。

 近年は水道が普及して生活には困らないが、それでも農業を営むには水不足に悩むこともある。そこで最近、農業用水として地下水を蓄えて利用する「地下ダム」の工事が行われ、以前より水を安定供給できるようになってきた。

 地下ダムに蓄えられた地下水の豊富さと、地下に水を蓄える技術の高さに驚くと同時に、改めて水を使えることの貴重さを知る旅となった。

山梨県の笠取山は、東京都水道局の水源林として明治時代から自然が守られている。多摩川の「最初の一滴」が見られる

 

八ヶ岳南麓の湧き水群…

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執筆=小林 千穂

山岳ライター・編集者。山好きの父の影響で、子どもの頃に山登りをはじめ、里山歩きから海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、フリーのライター・編集者として活動。『山と溪谷』など登山専門誌に多数寄稿するほか、『女子の山登り入門』(学研パブリッシング)、『DVD登山ガイド穂高』(山と溪谷社)などの著書がある。現在は山梨で子育てに奮闘中。

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