人生を輝かせる山登りのススメ(第29回)世界遺産、熊野古道・伊勢路を歩く(前編)

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公開日:2017.11.24

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 平安時代から人が通い、江戸時代には「伊勢へ七度、熊野へ三度」といわれるほど信仰厚い人々の往来でにぎわった熊野参詣道。別名「熊野古道」とも呼ばれ、熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)へと通じる参詣道の総称として知られています。熊野参詣道は2004年「紀伊山地の霊場と参詣道」を構成する道として世界遺産に登録されて以来、日本人だけでなく、世界中から“歩く人たち”が訪れるようになりました。その歴史ある熊野古道の1つ伊勢路は、伊勢神宮と熊野三山とをつなぐ道です。私は今、この約170㎞に及ぶ道のりを歩いて旅をしている途中。前編と後編の2回に分けて、伊勢路歩きの魅力をお伝えしたいと思います。

伊勢神宮(外宮)から166㎞の道のりを行く。4㎞ごとに道しるべが立つ

伊勢と熊野を結ぶ祈りの道「熊野古道・伊勢路」

 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を構成する「熊野参詣道」のうち、伊勢神宮と熊野三山とを結んでいる街道を「伊勢路」といいます。私は伊勢神宮(内宮)を出発し、伊勢平野を抜けて女鬼峠、三瀬坂峠、荷坂峠、一石峠を越え、今日で5日目、伊勢からは約80㎞の地点にある紀伊長島に着きました。街道筋の昔ながらの旅館に泊まりながら、毎日15〜20㎞のペースで歩いています。目的の熊野三山まで、全行程の半分といったところでしょうか。

 私が普段行っている登山は起伏が大きく距離は短め。一方、今回の伊勢路歩きは集落と集落をつなぐようにして歩くので、峠越えはあるものの、起伏は緩やかで、移動距離は長くなります。でも、バックパックや靴、ウエアなどの山道具はもちろん、ペース配分や地図読み、また疲れにくい歩き方など、山登りの技術を生かせるところも多くあるなと思いました。

伊勢路をスタートして約1.8km、女鬼峠道を行く。昔は荷車も通ったため、登山道と違って緩やかなカーブで道が作られていることに気付いた

途中にある神社やお寺にお参りしながら伊勢路を進む。写真は元伊勢ともいわれる瀧原宮

伊勢路歩きは人のぬくもりに触れる旅…

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執筆=小林 千穂

山岳ライター・編集者。山好きの父の影響で、子どもの頃に山登りをはじめ、里山歩きから海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、フリーのライター・編集者として活動。『山と溪谷』など登山専門誌に多数寄稿するほか、『女子の山登り入門』(学研パブリッシング)、『DVD登山ガイド穂高』(山と溪谷社)などの著書がある。現在は山梨で子育てに奮闘中。

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