IT時事ネタキーワード「これが気になる!」(第153回)世界最大の国際ハッカー集団「ロックビット」に包囲網、共同捜査で日本も貢献

時事潮流 デジタル化

公開日:2024.12.18

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 2024年10月、さまざまな企業をターゲットとして猛威をふるう、国際ハッカー集団「ロックビット」に対し、12カ国の法執行機関と、ユーロポール(欧州警察機構)、ユーロジャスト(欧州司法機構)が力を合わせて、開発者をはじめとする4人の関係者を逮捕した、というニュースが流れた。

 

国際ハッカー集団への包囲網でメンバーらを逮捕。日本も貢献

 この「ロックビット」に関しては、「警察庁にサイバー専門の“特捜部”。サイバー特捜隊を「部」に昇格して捜査体制を強化」で、「今年2月、ユーロポールがランサムウエア攻撃グループ・ロックビットの一員とみられる被疑者を検挙するとともに、テイクダウンを行った」経緯を書いた。この活動に日本の警察庁所属「サイバー特捜隊」が「ロックビットにより暗号化された被害データを復号するツールを2023年12月に開発し提供」していることもお伝えした。

 それによると、ロックビットに関してはもともと、12カ国の法執行機関などが力を合わせて、ロックビットランサムウエアグループの犯罪活動をあらゆるレベルで効果的に阻止するための長期にわたる共同の取り組み「クロノス作戦」が行われている。上記2月のテイクダウンは第1弾、5月の第2弾では英国などが指導者の一人とされるロシア国籍の人物に資産凍結などの制裁を科した。今回紹介した10月のニュースは10月の第3弾に当たり、ランサムウエア開発者をはじめとする4人の関係者を逮捕した。10月のいきさつは、ユーロポール「LockBit power cut: four new arrests and financial sanctions against affiliates」が詳しい。

 それによると、ロックビットの開発者と疑われる人物はフランス当局の要請により逮捕、英国当局はロックビットの関連会社を支援した2人を逮捕した。スペインは9台のサーバーを押収、グループが使用していたホスティングサービスの管理者を逮捕した。オーストラリア、英国、米国は、ロックビットの関連会社を特定、強く関連している俳優に制裁を実施した。英国はEvil Corp(ロシア政府が支援するランサムウエアギャング)の犯罪活動に関与した15人のロシア人と6人の米国人に制裁、オーストラリアは2人に制裁を行った。

 ユーロポール記事には、いきさつに続いて「ファイルを復号化するための身代金はもう必要ありません」との見出しで、ユーロポールの支援を受け、日本の警察、国家犯罪対策庁、連邦捜査局(FBI)が開発した、ロックビット製のランサムウエアによって暗号化されたファイルを回復する復号化ツールの利用を薦めている。ツールは「No More Ransom」ポータルから無料で利用できる。サイトは約30言語に対応、世界中から利用できる。

ロックビットとは? 攻撃ツールを開発し実行者に提供する「RaaS」方式。脅迫して身代金、データ公開の二重脅迫も…

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執筆=青木 恵美

長野県松本市在住。独学で始めたDTPがきっかけでIT関連の執筆を始める。書籍は「Windows手取り足取りトラブル解決」「自分流ブログ入門」など数十冊。Web媒体はBiz Clip、日経XTECHなど。XTECHの「信州ITラプソディ」は、10年以上にわたって長期連載された人気コラム(バックナンバーあり)。紙媒体は日経PC21、日経パソコン、日本経済新聞など。現在は、日経PC21「青木恵美のIT生活羅針盤」、Biz Clip「IT時事ネタキーワード これが気になる!」「知って得する!話題のトレンドワード」を好評連載中。

【TP】

審査 24-S1007

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