持続化補助金の対象となる企業は、常時使用する従業員の数によって異なります。例えば商業・サービス業は「5人以下」、宿泊業・娯楽業・製造業は「20人以下」です。法人だけでなく、個人事業、特定非営利活動法人(NPO)も申請できます。
持続化補助金の給付対象企業として選ばれた場合、新商品の開発費や機器・設備などのレンタル費、広報費やウェブサイトの開発費など、全部で11項目の経費の一部が補助されます。
ただし、車やオートバイ、パソコンや文房具など、汎用性が高く目的外使用になりえるものについては補助対象外となります。加えて、10万円を超える支払いを現金で行った場合、税込み100万円を超える支払いもしくは中古品については、2者以上から見積もりを受ける必要があります。
持続化補助金の特徴として、いくつかの「枠」が用意されている点があります。その枠とは【1】通常枠、【2】賃金引き上げ枠、【3】卒業枠、【4】後継者支援枠、【5】創業枠の5種類です。
【1】通常枠は、持続化補助金では最もスタンダードなプランで、経費の2/3が補助されます。補助額の上限は50万円です。
【2】賃金引き上げ枠は、申請時点および補助事業終了時点において、事業場内で支給している事業場内最低賃金を、地域の最低賃金より50円以上高く設定している事業者が対象です。補助率は通常枠と同様に経費の2/3ですが、補助上限は200万円と高くなります。
賃金引き上げ枠は、赤字事業者も申請可能です。ここでいう赤字事業者とは「直近1期または直近1年間の課税所得金額がゼロ以下」の事業者をさします。赤字事業者の場合、補助率は「3/4」とさらに高くなります。
【3】卒業枠とは、補助事業の終了時点において、常時使用する従業員の数を増やし、小規模事業者の従業員数を超えて規模を拡大した企業が対象です。具体的には、商業・サービス業は「6人以上」、宿泊業・娯楽業・製造業は「21人以上」の採用をさします。補助率は2/3、補助上限は200万円です。
【4】後継者支援枠は、経産省が実施するイベント「アトツギ甲子園」にて、ファイナリスト、および準ファイナリストに選ばれた事業者を対象とした枠です。アトツギ甲子園とは、全国の中小企業の後継者・後継者候補(アトツギ)が、既存の経営資源を生かした新規事業アイデアを競うピッチイベントのことで、毎年3月頃に開催されています。こちらの枠も、補助率は2/3、補助上限は200万円です。
最後の【5】創業枠は、産業競争力強化法に基づく「特定創業支援等事業」による支援を受け、かつ支援を受けた日または開業日が、公募締め切り時から3カ月以内の小規模事業者が対象です。補助率は2/3、補助上限は200万円です。
持続化補助金の枠は上記の5種類ですが、これに加えて、免税事業者から適格請求書発行事業者に転換する小規模事業者に対し、補助上限額を一律で50万円上乗せする「インボイス特例」も用意されています。インボイス特例と併せると、最大で250万円を受給できます。
募集は何度も行われている。今から準備を!
持続化補助金は、募集頻度が多いという特徴もあります。第1回はコロナ禍前の2020年にスタートしましたが、以降何度も募集が行われ、2024年5月までに16回実施されています。
申請は電子申請システム「gBizID」から行い、同時に事業支援計画書や貸借対照表などの資料が必要になります。申請内容は「経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか」「補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られるか」など、さまざまな観点から審査され、評価の高い順に採択されます。必要な提出書類がすべて提出されていない場合は不採択となります。補助事業が完了した後には、事業効果報告の資料を提出する必要もあります。
2024年6月現在、募集は行われていませんが、応募条件をクリアしているのであれば、いつ次の募集がスタートしても良いよう、準備をしておくと良いでしょう。