個人事業主、小さな会社の納税入門(第29回)「期末商品棚卸高」の計算にはご注意を!

資金・経費

公開日:2025.01.08

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 本連載の前回(「経営者は「売上原価」を正しく理解する」)では、「営業利益」の計算方法などについて解説し、税務調査のチェック項目について紹介しました。

 適正な「営業利益」を把握するためには、「営業利益=売上高-売上原価-販売管理費」という計算方法を用いますから、正確な売上原価の計算が必要です。売上原価の計算方法は「売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高」になります。この計算において、最も重要なのが期末商品棚卸高の把握です。そこで今回は、この期末商品棚卸高に関する評価方法や税務調査におけるポイントについて解説します。

棚卸しの重要性と評価方法のポイント

 期末商品棚卸高は、会社では決算期末、個人事業では12月31日における在庫の総額となります。この際の「棚卸し」は非常に手間のかかる作業ですが、複数の目的を持つ重要な作業です。主な目的として次の3つが挙げられます。

(1)純利益がいくらなのかを計算するデータとして確認する
(2)帳簿上の在庫と実際の在庫に差がないかを確認する
(3)適切な数の在庫がキープできているかを確認する

 棚卸しは業種によっては決算期のみでなく、毎月行う場合もあります。棚卸商品は、法人税や所得税の計算上は“在庫”として翌期に繰り越して、翌期以降の売り上げになります。

しかし消費税の仕入税額控除は、棚卸商品はあくまで商品を仕入れた時点であり、当期の売り上げに係る消費税から控除します。そのため、仕入れた時点で既に消費税の認識がなされていますが、「期末商品棚卸高」および翌期の「期首商品棚卸高」の勘定科目は消費税の対象外(不課税)となるので注意が必要です。

 実際に棚卸しを行って在庫を確認した後、それを評価して「棚卸高」を計算しなければなりません。棚卸商品の評価方法は「原価法」と「低価法」があります。このうち原価法には、①個別法 ②先入先出法 ③総平均法 ④移動平均法 ⑤売価還元法 ⑥最終仕入原価法があります。これらの評価方法から自身で管理しやすい方法を選択できます。

 税務署に「棚卸資産の評価方法の届出」を提出しない場合には、必ず原価法の「最終仕入原価法」で評価します。これを法定評価方法といいますので、覚えておきましょう。

棚卸しの対象と税務調査におけるポイント…

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