慶弔などの報告を社内の掲示板に紙で貼っていた時代が懐かしい。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は導入済みの企業も少なくない「社内SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)」だ。
「社長、営業部のAさん、お子さんが生まれたみたいですね。社内SNSに写真が上がっていました」(総務兼IT担当者)
「そりゃ、めでたいな。ところで、社内SNSってなんだ?」(社長)
「先月、総務部と営業部で試験的に導入しました。おしゃべりの感覚で気軽にコミュニケーションできると好評です」
「そういえば、使い方の説明を聞いた気がするな。どういう風に使っているのか、教えてもらえないか?」
手軽にコミュニケーションが取れる社内SNS
社内SNSとは、企業内の従業員同士が利用するSNSです。SNSはだれでも登録すれば利用できるX(旧Twitter)やLINEなどがおなじみですが、そのビジネス版といえます。スマホやパソコンなど、デバイスを選ばず使えるものがほとんどです。
社内SNSには個人やグループ間の会話に加え、ファイルや写真、動画の共有やタスク、スケジュールを管理する機能もあり、うまく使えば迅速な情報共有や業務効率化にもつながります。
社内SNSにはコミュニケーションの活性化につながる多様な機能がある
Q 社内SNSが利用されるようになった理由は何ですか。…
家族や友人との連絡手段としてSNSは欠かせない存在となりました。その手軽さをビジネスの現場でも生かしたいとの考えから、社員同士が気軽にコミュニケーションを取れるように社内SNSを導入する企業が増えています。
例えば、コミュニケーションツールとして一般的なメールの場合、社員同士とはいえ堅苦しいあいさつから始めるのが一般的ですが、SNSであれば用件から始めたり、同僚であれば返信も「OK」といった絵文字で済ませたりすることも可能です。こうした気軽さも社内SNSの利用が広がる理由になっています。
Q 社内SNSはどのように選べばよいのでしょうか。
昨今はあらゆる事業者から社内SNSのクラウドサービスが提供されています。社内、グループ内のコミュニケーションや情報共有に用いる会話機能は、ビジネスチャットとも呼ばれます。また、業務報告などのタスク管理や社内コミュニティーの形成、クラウドストレージと連携したファイル共有など、それぞれ特徴のある機能を提供する事業者もありますので、自社の利用目的に合ったサービスを選ぶとよいでしょう。使える機能に制限はありますが、無償版のサービスで使い勝手を確かめる方法もあります。
Q 社内SNSを導入する際の注意点は何ですか。
今回の社長のように、せっかく導入しても使わない人が出るケースも考えられます。全員が使いこなせるよう、事前にルールを含め、社内研修を行うことが効果的です。また、情報漏えいや不正利用を防止するセキュリティ対策も重要です。管理者によるユーザーの登録・削除、許可されたユーザーと端末同士のみで利用可能なサービスもあります。初めて導入する企業は、社内SNSに詳しいIT事業者に相談するとよいでしょう。
「社長、社内SNSについて理解していただけましたか。社長もメンバーに入っているので、使ってみてくださいね」(総務兼IT担当者)
「会議の連絡も社内SNSでやっているのか。メールより早く見られるし、確かに便利だな。ただ、スマホだと文字が小さくてちょっと見づらいな」(社長)
「スマホだけでなく、パソコンも使えますよ」
「それはありがたい。使い方が分からなくなったら、社内SNSでSOSを出すよ」