人気会計士が語る、小さな会社の経営“これだけ”（第27回）なぜこの会社は1億円以上の利益を出しているのか

　では会社の中で誰がもうかる商品、製品、技術、サービスを開発したり、もうかる市場や取引先、仕入れ先を開拓したりしたのかというと、調査の結果もやはり、多くの企業では社長でした。社員ではありません。社長の熱い思い、発想力、先見力で時代の先を読んで、手を打ち成功しています。「企業は人なり」といいますが、中小企業において、極端にいえば人とは社長のことではないでしょうか？

　社長の仕事で一番大事なことは、もうかる商品、製品、技術、サービスを開発したり、もうかる市場を探したり、もうかる取引先や仕入れ先を開拓したりすることです。そして開発された商品・サービスは、20〜30年の寿命があります。

　古田土会計のお客さまで30年以上続いている会社はたくさんありますが、扱っている商品の数は決して多くはありません。昔ながらの商品です。ただし、同じ商品を長く扱っているところは、売上高、粗利益は毎年減少し続けています。競争相手が増えたり、時代の変化とともに商品自体の価値が減ったりしているからです。時流に対応できない多くの会社が赤字になったり、倒産したり、規模の縮小をしたりしています。

ナンバー2が社員教育をする会社は強い

　新しい商品・サービスは20〜30年の寿命がありますが、すぐには開発、開拓ができません。多くの会社は、現商品、現サービスの改良、改善をしたり、高品質化したりして、現市場の深掘りをして増収や増益をしています。

　そのときにこそ、力を発揮するのが社員力です。業績のよい会社は、社員教育に熱心です。社長がよい商品・サービスを開発しても、人材が育っていなくては成長を長期的に維持できません。

　では、よい会社で、誰が社員教育を先頭になって実施しているかというと、社長ではありません。会社のナンバー2です。ナンバー2が社員教育の中心となり、よい社風をつくっている会社が成功しています。

　社員は、社長を特別視しているところがあります。オーナー社長なら、なおさらです。社員代表のナンバー2が社長の方針に従って、口うるさい上司として、嫌われるのを覚悟で方針を徹底させると、価値観を共有し、全社員が一丸体制になった強い組織になります。その結果、業績はますます向上して安定的に高収益の会社になります。もちろん、古田土会計はそういう企業となり、お客さまの見本となりたいと思い努力しています。

※本記事は、2017年に書籍として発刊されたものです