ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
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公開日:2021.11.19
家づくりについて、2カ月以上かけて工務店と詳細な打ち合わせを重ねて、やっと正式な設計図が完成し、着工へとこぎ着けた私たち。地鎮祭を行い、地盤調査(その土地が建物の重さに耐えられるかの調査)も問題なくクリア。いよいよ、基礎工事を始める段階になったが、その前にもう1つ必要な調査があった。それは、埋蔵文化財の照会。この土地は遺跡の上にあるかもしれず、工事前に発掘調査が行われることとなった。実際に、近くでは遺跡も発掘されている。さて、私たちの土地に、遺跡は眠っているのだろうか。
北杜市には知られているだけで1000カ所もの遺跡(埋蔵文化財包蔵地)があるという。中でも有名なのが国指定史跡の金生遺跡(きんせいいせき)。そこでは縄文時代の住居跡や、祭祀(さいし)が行われた場所が見つかり、土器や石器のほか、装飾品も発見された。北杜市には、今も地中に埋もれたまま、調査されていない遺跡があるそう。
私たちが購入した土地は埋蔵文化財包蔵地の範囲に該当していて、新規に住宅建設などの土木工事を行う場合は発掘調査が必要になる。どのような内容なのか、数年前に調査を済ませたという隣家のおじさんに話を聞いてみた。すると、家屋の角を指さしながら「ウチはここから大昔の住居跡が出ました。調査員が来て、深さ50㎝以上掘っていましたよ。この辺り一体に集落があったというから、お宅もきっと何か出ますよ」とニコニコ笑いながら話してくれた。もし、今の仕事に就いていなかったら、発掘調査の仕事をしたいと思っていたほど遺跡や古代史に興味がある私は、とてもわくわくしてきた。
「もし、この土地から国宝級のお宝が出てきたら、億万長者になれるのかな。山梨には武田信玄の埋蔵金伝説もあることだし」と私が言うと、夫は「そんなのあるわけがないでしょう。第一、この辺りはもっと古い時代の遺跡じゃないの?」と至って現実路線。それでも、大きな縄文土器とか、ヒスイの首飾りとか、重要な物が発掘されるかもしれないと思うと歴史ロマンに期待が膨らんでしまう。一方で、不安もチラリと脳裏に浮かぶ。お宝が出たら、古代人が埋葬されている可能性もゼロではないな……。何が出るのか、はたまた何も出ないのか。実際に掘ってみるまでは誰にも分からないだけに、宝くじを買ったときのようにドキドキする。
調査当日、私は興味津々で調査に立ち会うことにした。まずは重機で地表から50㎝ぐらいの表土を取り除いていく。すると早速、「何かありそうだね」と重機を止めて手作業に切り替える調査員たち。「出ましたか?!」と駆け寄ると「私たちは主に土の硬さや色の違いで遺跡の有無を調べています。ここは、周りに比べて土の色が濃いでしょう。この地域では黒っぽい色の層から遺跡が発掘される場合が多いのですよ」と教えてくれた。
やがて教育委員会の方も加わり、打ち合わせが行われた結果、後日、改めて本格的な調査をすることになった。
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執筆=小林 千穂
山岳ライター・編集者。山好きの父の影響で、子どもの頃に山登りをはじめ、里山歩きから海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、フリーのライター・編集者として活動。『山と溪谷』など登山専門誌に多数寄稿するほか、『女子の山登り入門』(学研パブリッシング)、『DVD登山ガイド穂高』(山と溪谷社)などの著書がある。現在は山梨で子育てに奮闘中。
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