脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」(第82回)
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公開日:2023.03.03
「DX」(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を耳にしたことがある人は多いでしょう。経済産業省の「デジタルガバナンス・コード2.0」では、DXは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と定義され、多くの企業が注目しています。DX化によって従来の企業が抱えていた課題を解決することが可能です。本記事では、その目的や導入の背景、メリットなどを解説します。さらに、すでにDX化を成功している企業の導入事例も併せて紹介します。
目次
・DX(デジタルトランスフォーメーション)とはデジタルによる変革のこと
・DX化の目的
・DX化が注目される背景
・DX化のメリット
・DX化のステップ
・【産業別】日本企業のDX化事例
・まとめ
「DX」は「Digital Transformation」の略で、直訳すると「デジタルによる変革」という意味になります。つまりDXを推進することは、従来型のビジネスからデジタル技術を活用したビジネスへと変革し、競争力があり価値ある企業をつくり出す活動ということになります。
IT化・IoT化・ICT化との違い
「DX化」に似た言葉として「IT化」「IoT化」「ICT化」があります。これらはいずれもDX化とは意味が異なります。
まずITとは「Information Technology」の略で、コンピューターやソフトウエア、インターネット通信などのデジタル技術全体のことで、IT化とは環境をアナログからデジタルに変換することを示します。
次にICTは「Information and Communication Technology」の略で、インターネットやコンピューター関連など、人と人がつながるデジタル情報を通信する技術のことで、ITに近い意味合いをもちます。そしてICT化とは、通信環境を含めたデジタル化を進めることを意味します。
そしてIoTは「Internet Of Things」の略で、直訳すると「モノのインターネット」を意味します。IoTはモノをインターネットにつなげる技術、あるいはインターネットに接続する各種機器のことで、具体的にはスマートスピーカーやIoT家電、工場内の機械装置などが挙げられます。
まとめますと、「DX化」はデジタルによる変革という幅広い意味を有しますが、「IT化」「IoT化」「ICT化」は、より狭義の意味を有する言葉ということになります。
BX・CX・UXとの違い
DXに似ている言葉としては、この他にも「BX」「CX」「UX」があります。いずれも、主にデジタルマーケティングの文脈で使用される言葉です。
BXは「Business Transformation(ビジネストランスフォーメーション)」の略で、デジタル化によりビジネスシステムの改革、業務改善を行うことです。
またUXは「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略で、ユーザー体験を意味します。ユーザーが商品・サービスを使用した際の体験や使用する際の価値などを示します。
CXについては「Customer Experience(カスタマーエクスペリエンス)」の略です。顧客体験という意味で、顧客が企業の商品を購入・使用したり、Webサイトや営業担当者、カスタマーサポートなどのサービスを受けて体感したすべての経験を示します。UXとよく似ていますが、CXは商品・サービスの利用前後まで含む、より幅広い体験を表します。
DX化を推進する場合、何のためにDXを実行するのか、具体的な目的を立てておくことが重要になります。例えば、重要なデータを取り扱う人事・経理向けのDXでは、データのデジタル化とテレワークの推進といった手法が存在しますが、これらはいずれもITの活用による業務効率化を目的に行うものとなります。
顧客との関係性が重要な営業・マーケティングのDX化では、顧客とのコミュニケーションを円滑化し、顧客満足度を向上させるなどの目的を設定することが可能です。DX化を進めることで、管理システムの導入による顧客情報の一元管理や、チャットボットの導入による顧客対応の負担軽減といった目的が達成できます。
企業・組織全体としてのDX化の目的としては、「企業の競争力を高めて、市場での優位性を確立すること」などを挙げるべきでしょう。その上で、業務効率化や生産性向上、作業負担の軽減、効率的な顧客データの活用といった目標を具体的に設定することで、DX化にたどり着くことが可能になります。
日本でDX化が注目されるようになった大きなきっかけとしては、2018年9月に経済産業省が発表した「DXレポート」があります。このDXレポートでは、後述する「2025年の崖」に備えるためにはDXの実現が不可欠として、DX化に取り組まなかった場合のリスクやDX実現に向けたシナリオがまとめられています。
2025年の崖とは、2025年に主流システムのサポート終了や、ハードウエアの老朽化の進行、IT人材不足の拡大などで、IT関係のトラブルが集中し、最大で年間12兆円の経済損失が生じる悲観的な予測のことです。同レポートでは、既存システムを見直し、新しいデジタル技術への移行、新たなビジネスモデルの創出を行わないと、データを活用できずに市場競争の敗者となると予想しています。
つまりDX化は、この2025年の崖を乗り越えるために日本政府主導で行われている取り組みともいえます。
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執筆= NTT西日本
【MT】
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