脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」(第82回)
ブルーライト対策にはうな重?
公開日:2023.03.29
西日本の豊かな自然に恵まれた漁港にあるF漁業協同組合。組合員向けに漁船の燃料や漁具、保険などを取り扱い、仕入れや販売データなどは組合のパソコンで管理、保管してきた。しかし、パソコンのディスク障害によるデータ消失リスクがあり、BCP対策として外部の記憶装置やクラウドサービスを利用するデータ保管方法を検討することになった。
NASとクラウドストレージのメリットとデメリットを比較検討した結果、クラウドストレージを採用。決め手は、強固なセキュリティを保つ国内データセンターでデータが保管される点や導入から運用まで困った時に頼れるサポート窓口が充実していることだ。組合ではデータの保管のみならず、職員が外出時や自宅など事務所外から安心してクラウドストレージへアクセスできるようになり、他の漁業協同組合に先駆けて働き方改革を進めている。
F漁業協同組合は、瀬戸内海で捕れた新鮮な魚介類を関西や首都圏に届け、飲食店や消費者から高い評価を得てきた歴史を持つ。組合では地域の漁業活性化や組合員の仕事と生活に役立つさまざまな事業を展開してきた。他の組合と同様に漁船の燃料や漁具などのあっせん・販売や事業資金の貸し付け、保険の取り扱いなどはその一例だ。
例えば、燃料の受発注は燃料会社など取引先とメールや電話、FAXを使ってやり取りされ、取引データは帳簿に記帳する他、職員がノートパソコンに入力し管理してきた。しかし、F漁業協同組合の職員数は数名のためできるだけ業務を効率化したい。そこで、帳簿への記載からデータで一元管理する方法へと仕事のやり方を変更することにした。
ここで問題になったのがデータの保管方法だ。職員のノートパソコンにデータを保管しているが、ノートパソコンが故障してデータが消失したり、盗難・紛失で情報漏えいしたりするリスクがある。また、漁業協同組合は漁港にあり、自然災害などで組合事務所が被害に遭うリスクもないとは言えない。
そして、BCP対策の観点から、データ保管先としてNASまたはクラウドストレージの導入をIT事業者から推奨されたこともあり、それぞれのメリット、デメリットを比較検討することになった。
\ かんたん入力で登録完了 /
執筆=山崎 俊明
【TP】
クラウドストレージ利用実態調査2022
近年、ユーザー嗜好の変化を適切につかみ、ビジネスチャンスを生み出すヒントとして注目を集めるがデータの利活用。ビッグデータの活用とまでいかなくても、企業活動の中で取り扱うデータは増加する一方です。日々の業務においては、膨大なデータをいかに効率的に管理・保管するかが1つの焦点となる。その課題解決に向けて注目を集めるのが、クラウド上のデータ格納スペース「クラウドストレージ」(オンラインストレージ)の利用です。その実態について調査を行いました。
企業のDX対応意識調査2023
データの利活用にとどまらず、デジタル技術を前提としたビジネスモデルの変革や経営革新の切り札として期待される「DX(デジタルトランスフォーメーション)」推進。企業はその対応に向けて何を進め、どのような点を課題に感じているのだろうか。こうした企業意識について調査を行いました。
電子帳簿保存法対応調査2023
2022年に施行された改正電子帳簿保存法。その猶予期間が、2023年12月31日で終了となります。多くの企業にとって、インボイス制度(同年10月スタート予定)も鑑みつつ、本制度が定める電子取引データの電子保存などに対応するための準備が喫緊の課題となります。では、企業はどのように準備を進めているのだろうか。その最新動向について調査しました。