オフィスあるある4コマ(第45回)
ホテルでWi-Fiがつながらない原因
公開日:2024.03.19
「出勤途中で転んで骨折してしまい、ゴルフがしばらくできなくなりました……」。私が主管するゴルフスクールのお客さまからこんな連絡をいただきました。転倒事故は高齢者ほど骨折などの大きなケガのリスクが高まりやすく、打ち所や程度によっては寝たきりになる場合もあります。避けられるものならできるだけ避けたいと思う人は多いのではないでしょうか。
今回は、転倒事故を回避・予防するために必要な、体の「バランス能力」について考えてみます。ゴルフ寿命を奪うだけでなく、日常生活に不便を生じさせかねない転倒事故に遭わないように、普段からバランス能力を養っておきましょう。
厚生労働省が公表している「事故の型別労働災害発生状況(2022年/確定値)」を見てみましょう。2017年に978人だった死亡者数は2022年には774人まで減少しています。一方、休業4日以上の死傷者数は同じ時期に12万460人から13万2355人へと増加しています。中でも転倒事故は2万8310人から3万5295件に増えました。事故の型別でも、「動作の反動・無理な動作」「墜落・転落」「はさまれ・巻き込まれ」などを抑えて1位になっています。
高齢者の転倒事故は、それがきっかけで寝たきりになり、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)の低下を招くリスクが高くなるといわれる重要因子の1つです。厚生労働省の「国民生活基礎調査(2022年)」によると、要支援者・要介護者になった主な原因として、1位:認知症(16.6%)、2位:脳卒中(16.1%)に続き、骨折・転倒は13.9%で3位になっています。
このように、労働や長寿といった観点からも転倒防止は日本の社会課題といっても過言ではないでしょう。そもそも、なぜ人は転ぶのでしょうか?その要因は、運動機能や感覚といった個人に起因する内的要因と、段差や障害物、慣れない履物、滑りやすい床といった外的要因の2つに分けられます。内的要因はゴルフでも重要なバランス能力が大きく影響します。この能力は筋力や柔軟性、関節の可動域といった「運動機能」と、視覚や平衡感覚などの「感覚機能」、そして脳や神経といった「脳神経機能」の3つの機能が連携した働きです。
ランニングやマラソンで足がもつれる、突っかかるという経験のある人は、「運動機能」が低下していると自覚できていないことが原因かもしれません。若い頃の「速く走れる」という記憶に対し、中年太りで今は「速くは走れない」体になっているのに若い頃と同じフォームで走ろうとする、いわゆる「イメージと運動機能のズレ」です。もしくは、体がどの程度傾き、重心がバランスの保てる範囲か否かを感知する「感覚機能」の低下が原因かもしれません。
視覚や筋肉、関節、皮膚から情報を通じて体の位置や動きを感じとる感覚(体性感覚)、耳の奥にある三半規管で感知する重力やスピードの感覚(前庭感覚)などが正しく機能しなければ、バランスの崩れを制御できず、転倒事故につながります。また、運動機能や感覚機能が正しく働いていたとしても、「脳神経機能」で正しく情報処理ができていないと、体勢の崩れを制御する骨格筋を的確に働かせず、転んでしまいます。具体的には、貧血などで起こる一時的なめまい、認知症や失調性疾患などの病気や障害、薬の副作用などが挙げられます。
これら3つの機能が衰えるとバランス能力も低下しますから、加齢とともに転びやすくなるのは当然といえるかもしれません。転倒の外的要因を取り除くには社会のバリアフリー化の進展に期待しなければなりませんが、内的要因を取り除くにはバランス能力の維持・向上が効果的です。そしてそれは、ゴルフ上達のためにも必須といえます。
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執筆=小森 剛(ゴルフハウス湘南)
有限会社ゴルフハウス湘南の代表取締役。「ゴルフと健康との融合」がテーマのゴルフスクールを神奈川県内で8カ所運営する。自らレッスン活動を行う傍ら、執筆や講演活動も行う。大手コンサルティング会社のゴルフ練習場活性化プロジェクトにも参画。著書に『仕事がデキる人はなぜ、ゴルフがうまいのか?』がある。
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ゴルフエッセー「耳と耳のあいだ」