ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
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公開日:2021.03.11
新型コロナウイルスの感染拡大や政府の緊急事態宣言の発令を受け、多くの企業が在宅勤務(テレワーク)を採用しています。従業員が自宅で仕事をするためにはパソコンなどの事務用品が必要になることに加え、通信費や電気料金などの費用もかかってきます。こうしたテレワークのための費用を会社が負担した場合の税務上の取り扱いが課題となっていましたが、2021年1月に国税庁から「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」(源泉所得税関係)が公表されました。今回は、このFAQのポイントを解説します。
在宅勤務では、自宅で仕事をするための諸経費がかかることから、在宅勤務手当を支給する企業も少なくありません。従業員に在宅勤務手当を支給した場合、FAQでは在宅勤務に通常必要な費用の実費相当額を精算する場合には、従業員に支給した手当については給与課税されないことが示されました。
すなわち、「実費精算」であるかどうかが重要となります。もし、社員に毎月5000円など一定額を渡し切りで支給し、従業員が在宅勤務に必要な費用として使用しなかったとしても企業に返還する必要がない場合には、「実費精算」には当たらないため従業員への給与として課税対象となります。
自宅で仕事をするためには、通常パソコンなどの事務用品が必要となります。そこで企業が従業員にパソコンを支給する場合がありますが、支給の仕方によっては給与課税されてしまう可能性があるので注意が必要です。
基本的に、企業が所有する事務用品などを従業員に「貸与」する場合には、従業員に対する給与として課税する必要はありません。しかし、事務用品などの所有権が従業員に移転する場合は、従業員に対して現物の給与を支給したとして所得税の課税対象となります。
この「貸与」については、例えば、企業がテレワーク用に事務用品などを「支給」という形で配布し、その配布を受けた事務用品などを従業員が自由に処分できず、業務に使用しなくなったときは返却するという形態も「貸与」とみなされ、給与課税の対象とはなりません。
在宅勤務に要した費用を会社が負担する場合、給与課税されないためには「実費精算」の方法によることとなりますが、この実費精算のやり方としては、次のような方法があります。
(1) 企業が従業員に対して金銭を仮払いした後、従業員が事務用品などを購入し、その領収証などを企業に提出してその購入費用を精算する方法
(2) 従業員が立て替え払いにより事務用品などを購入した後、領収証などを企業に提出してその購入費用を精算する方法
通信費や電気料金の場合は、通常、私的利用の部分と業務利用の部分が混在するため、業務のために使用した部分を合理的に計算し、その計算された金額に基づいて精算することになります。
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執筆=多田 恭章
税理士・社会保険労務士
(一社)租税調査研究会主任研究員。TOP総合会計事務所所長。元東京国税局調査部移転価格事前確認・調査担当、都内税務署国際税務専門官、東京国税局法人課税課、国税庁国際業務課(情報交換担当)を歴任。
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