トップインタビュー(第13回)マニュアル武器に卵を世界に拡大

経営全般

公開日:2016.04.06

  • PDF PDF
  • ボタンをクリックすることで、Myクリップ一覧ページに追加・削除できます。追加した記事は、「Myクリップ」メニューからいつでも読むことができます。なお、ご利用にはBiz Clipに会員登録(無料)してログインする必要があります。

イセ食品会長 伊勢彦信氏

 「森のたまご」などのブランド卵を持ち国内鶏卵市場で約15%のシェアを握るイセ食品。新事業として東南アジアの養鶏業者140社への卵生産技術・ノウハウのライセンス提供に取り組む。垂直統合モデルの中で開発し、磨き上げてきた育雛(いくすう)、採卵などの独自マニュアルが力を発揮する。

──2015年7月31日からの3日間、「たまごサミット2015イン東京」が開かれました。ASEAN(東南アジア諸国連合)を中心とする17カ国から約140社、約300人が集まる大規模なイベントとなりましたが、開催の狙いは何ですか。

伊勢:イセ食品は新鮮な卵を生産するための養鶏技術、品質・衛生管理などのノウハウを持っています。今後、それを成長著しいASEAN地域に輸出したいと思っています。

 今回参加した140社はそのパートナーとなる企業。このイベントでは「卵を通じてASEAN地域の国民の健康と環境を向上させる」という共通目標にサインしてもらいました。まずは各社に「安心・安全で高品質な卵を供給する、ASEANで最も強力な集団の一員である」という認識を持って連帯してもらいたいと思いましてね。

 これから順次、事業に関する細かな契約事項を詰め、イセ食品が持つ卵生産の技術やノウハウを契約した事業者にライセンス提供していきます。インドネシア、ベトナム、ミャンマーなど各国の大臣や大統領からは直々に「国を挙げて支援するから進出してほしい」と言われましたが、当社の資力も限られますから、知的所有権の販売というスタイルでやっていきます。

素人でも卵が生産できる

──「知恵を売る」ことが従来、日本企業はなかなかできませんでした。なぜイセ食品には可能だったのでしょうか。

伊勢:我々には長年、徹底して作り込んできたマニュアルがあるからでしょう。

 富山県で創業した父・多一郎は鶏の育種改良から孵化(ふか)、育雛、採卵、包装、販売と垂直統合型のビジネスモデルを作り上げました。後を継いだ私は契約農家がきちんと鶏を飼育せずに「卵を産まない」と苦情を言うのを聞いて、温度や光の管理、採卵のタイミングなどを事細かに定めた独自マニュアルを作成。素人でも確実に卵を生産できるようにしました。…

続きを読むにはログインが必要です

\ かんたん入力で登録完了 /

会員登録3つのメリット!!

  • 最新記事をメールでお知らせ!
  • すべての記事を最後まで読める!
  • ビジネステンプレートを無料ダウンロード!

伊勢 彦信(いせ・ひこのぶ)

1929年富山県生まれ。46年富山県立福野農業学校卒業、父親が経営する伊勢養鶏人工孵化場に入る。52年イセを設立し社長に就任。68年イセ食品設立。80年イセアメリカを設立し米国に進出、4年で全米の上位に食い込む。92年イセグループ各社会長に就任。日本有数の美術品コレクターとしても知られる。

【T】

「経営全般」人気記事ランキング

連載バックナンバー

トップインタビュー

オンラインセミナー動画

  • 新着記事

配信日時

2024年12月11日(水)①14時00分〜15時00分 ②18時00分~19時00分

DX・業務効率化関連

事前に防ぐ!カスタマーハラスメントの実態と企業がとるべき対策

  • 新着記事

配信期間

2024年11月28日(木)~2025年9月30日(火)

DX・業務効率化関連

【年末調整直前!】デジタル化による業務負担の軽減をめざそう