ビジネスコミュニケーション手法の改善(第10回)
【オフィス・店舗向け】回線速度は?サポートの手厚さは?業務用フレッツ光の選び方
日々の業務の中で場当たり的に構築してきたICT環境を、抜本的に見直す機会はなかなかない。しかも、現状のICT環境には、無駄があったり、新しい技術の導入が滞ったりしていることも少なくない。特にIT人材が不足しがちな中堅中小規模の企業では、従業員だけでICT環境の見直しを実現するのは難しい。企業経営のホールディングス化を契機に、外部のノウハウを活用してICT環境の全面刷新に取り組んだ、人材派遣のベルテックの事例を紹介する。
<ベルテック>
1990年の創業。日本で仕事を求める外国人のニーズと、コストダウンや生産調整を図りたい企業側のニーズをマッチングさせるサービスを提供。アウトソーシング、人材派遣、人材紹介以外に、直接雇用の外国人の労務管理・生活サポートなどを手掛ける。マンション管理、自動車や家具・家電などの外観検査用照明機器の販売、ゴルフ用品販売といった事業にも多角化。本社は愛知県刈谷市、グループ全体の従業員は50人。
外国人を中心とした人材サービスを手掛けるベルテックは、2017年に経営基盤の強化のため、中長期経営計画に着手した。計画では、グループ全体の経理処理や給与計算の業務を担当するトータルサービスシステムズを中心とした、ホールディングス化を打ち出した。それに伴って浮上したのが、IT資産管理の一本化。これまで関連会社が個別に対応し整備してきたICT環境を見直し、グループ共通の事業基盤として強化しようと考えた。
その際に特に重視したのがセキュリティの強化である。外国人の人材派遣を手掛けるベルテックでは、外国人派遣労働者のビザやパスポートなどの機密性の高い個人情報を扱う。それだけに高いセキュリティレベルが求められる。しかし、必ずしもそれが実現しているとは言い切れない状況だった。
ベルテックで情報システム室室長を務める鈴木亜弥氏は、「グループのICT環境で一番足りないのはセキュリティ対策だという認識はありました。そのためにUTMや次世代ファイアウォールなどを検討してみました。しかし、費用対効果が見えない中で、どうすればベストなのかが分からずに、手を付けられませんでした」と話す。
情報システム室自体が、2017年9月に設立された新しい組織だった。ICTに詳しかった前任者の後を受けて室長になった鈴木氏自身は、グループ企業の営業畑出身。ICTの知識がそれほどあったわけではない。しかも専任者は鈴木氏1人だ。他には兼任者が数名いるだけという状況で、なかなかICT環境の抜本的な刷新まで踏み込めないでいた。
情報システム室ができる半年前に、NTT西日本の営業担当者からICT環境の整備に関するアプローチがあった。ただ、そのときは情報セキュリティの専門部署がなかったことから、提案を聞かずに終わっていた。「部署新設後、とにかく一度話を聞いてみようとNTT西日本の営業担当者に声を掛けました。そのときに、ICT環境の整備を行えば電話代を削減できる可能性があると知りました。そうした目に見えるメリットがあれば、費用対効果が分かりやすいので、具体的な検討に進めると判断したんです」(鈴木氏)。ベルテックのICT環境刷新プロジェクトが動き始めた瞬間である。
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執筆=高橋 秀典
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