人手不足時代の業務効率策(第1回)「登降園管理システム」で保育業務の効率化

業務・勤怠の管理 人手不足対策 教育機関の変革

公開日:2016.11.22

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 年々深刻度を増している少子化問題解決に向けた施策の目玉として2015年に内閣府がスタートさせた「子ども・子育て支援新制度」。希望出生率1.8の実現、待機児童ゼロをめざした取り組みが本格化しつつある。その中で必要性を指摘されているのが、保育士の業務効率化だ。現場の負担をいかにして減らせるか、さまざまな試みが続けられている。

保育士を圧迫する「事務作業」

 子ども・子育て支援新制度は、日本における超少子化の進行や家庭、地域を取り巻く環境変化に対応するため、2012年に制定された法律(子ども・子育て支援法)に基づき整備された制度である。具体的には児童手当給付や保育施設拡充といった「量的」要素と、子どもたちがより豊かに育っていける環境を整備する「質的」要素という両面から、社会全体での支援が定められた。当制度は2015年4月から施行されている。定員オーバーで保育園に入れない待機児童の解消など、量的問題解決への取り組みは広く知られるところだ。もう一方の質的問題、とりわけ保育士の処遇面については、専門性の強い職種であることなどからあまり改善が進んでいない。

 保育士の主な仕事は、子どもたちを見守り育てながら教育する「保育業務」。だが実際は、毎日の保育記録、行政への提出書類作成といった事務的業務にもかなりの時間が費やされている。先ごろ東京大学発達保育実践政策学センターが全国の保育士を対象に行った調査によると、「事務作業の多さに負担を感じる」と答えた保育士が非常に多い結果となった。

 新制度では、保育を必要とするすべての家庭が利用できる環境をつくるため、これまで一律だった保育時間を保護者の就労状況などに応じて個別に管理することが定められている。多くの自治体で各保育施設は園児の登降園時間を報告する必要があり、保育士の負担がさらに増大すると懸念される。

 登降園時間などの書類は定期的に自治体へ提出されている。「子ども・子育て支援新制度」により、園児の登降園時間の厳格な管理が求められるようになった。行政への申請書類作成などで保育士の事務作業負担は増大している。手書き中心が当たり前の保育園では、毎日の記録をいったんメモした後、指定の書式や帳票に転記する必要がある。

 一般企業ではこのような問題に対処するために、勤怠管理システムなどのICT活用が進んでいる。保育の現場でも意図的にICT導入を遅らせていたわけではない。ただ、人員不足や財政状況などにより、ICT活用にまで手が回らないのが実情だ。多くの保育園は、保育以外の業務で疲弊している。

ICT活用で大幅な負担軽減…

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執筆=林 達哉

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