3月18日は春の「睡眠の日」。世界睡眠学会が定めた「World Sleep Day」と合わせるように、国内で睡眠知識の普及・啓発に取り組む睡眠健康推進機構が制定されました。春先は働く環境や気候に大きな変化が起こりやすく、心身共に刺激が多い季節です。それらがスムーズな眠りを妨げると、日中の眠気やだるさなどのトラブルとして表れやすくなります。また、日中の眠さやだるさは集中力を低下させ、仕事の効率を下げる大きな要因になります。毎日スッキリ、心地よく過ごせるよう、睡眠習慣を整えましょう。
睡眠の悩み・不満を尋ねた結果は、「眠りが浅い」「疲れがとれない」「睡眠時間が足りない」が全体の各3割程度を占めており、次に「昼間に眠くなる」「朝すっきりと起きられない」「なかなか寝つけない」が全体の各2割程度を占めました。
冬よりも早く朝日が部屋に差し込む春は、これまで通り寝ているつもりでも日差しによって脳が覚醒し、睡眠不足を感じやすくなります。また、環境の変化によるストレスや気候の変化による自律神経の乱れが原因となって、寝付きや目覚めが悪くなったり、疲れが残ったりすると感じるようになるかもしれません。
厚生労働省は「健康づくりのための睡眠指針 2014」の中で、「睡眠12箇条」を示しています。例えば勤労世代が睡眠リズムを調整するためには、第6条、第8条、第10条に注目するとよいでしょう。
第6条 良い睡眠のためには、環境づくりも重要です
毎回同じ行動をした後に眠るようにすると、その行動がスイッチとなり体内が自然と入眠準備を整えるようになります。そんな入眠儀式を2~3個つくっておくと、行動しているうちに就寝モードに切り替えやすくなります。
例えば、スマホをナイトモードにする、部屋の明かりを小さくする、ぬるめのお湯にゆっくり入浴するなど、自分なりのリラックス方法が役立ちます。暗めの部屋でノンカフェインのハーブティーを飲んだり、ゆったりした音楽を小さな音で聴いたりするのも、体に優しく、習慣化しやすい方法としてオススメです。1つポイントを挙げるなら、部屋の中の温度や湿度を一定に保つこと。夏や冬に限らず、寝付きが悪いときにはエアコンや加湿器などで室内環境を整えるといいでしょう。
第8条 勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を
人間に必要な睡眠時間は、6時間以上8時間未満とされています。個人の体調や年齢、眠りの質によっても変わるため、どれくらいの時間を寝ていればよいというものでもありません。ただ、活動している時間に支障を来すほどの眠気を感じるようになったら、それは寝不足のサインといえるでしょう。
寝不足は、注意力や作業能率の低下を引き起こし、時には事故の引き金にもなります。眠気を感じたら、少しでも昼寝を取ってください。あなたが職場の管理者なら、1人ひとりの睡眠をサポートするように従業員が休めるシフト調整、早い帰宅を促す環境づくりなどを行うと、チーム全体の士気も上がるのではないでしょうか。
第10条 眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない
「毎日23:00に眠る」のようにきっちり時間を決めるタイプの方とそうでない方がいらっしゃいます。前者は予定通りにいかないことで逆にストレスを感じて入眠が妨げられるケースもあります。
この他、考え事をしていて脳が覚醒すると、布団に入っていてもなかなか眠れないこともあるでしょう。「明日のために寝なくては」と無理に眠ろうとすると、さらに目がさえてしまうことも……。そんな日が続くと“布団に入ると目がさえる”という逆のスイッチが根付いてしまう可能性がありますので、布団に入ったものの20~30分過ぎても眠れなければ、寝室を出てリラックスすることから始めましょう。眠くなってから寝床に入ること、就寝時刻にこだわり過ぎないことが、睡眠不足の解消には大切なポイントなのです。
そんな中、もし少しでも早く眠れる日があればどうするか――早めに寝てしまいましょう。たとえ1日10分でも1週間続けば1時間以上多く眠ることができ、睡眠不足という不安やストレスを軽減しやすくなります。そして、入眠する時間は早くても遅くても、朝はできるだけ同じ時刻に起きること。こうすることで、入眠時間も徐々に安定していきます。
睡眠リズムを整えることは基本的な生活習慣を整えることにつながり、肥満などが影響する生活習慣病の予防としても効果的です。毎日を心地よく過ごせるよう、自分に合った入眠の工夫をして睡眠リズムを整えてください。
※工夫をしても不眠傾向が改善しない(長く続く)場合や、食欲が出ないなど体調不良が自覚できるような場合は、医療機関に相談しましょう
<外部リンク>
・マイボイスコム株式会社「寝具と睡眠に関するアンケート調査(第5回)」
https://myel.myvoice.jp/products/detail.php?product_id=24804
・厚生労働省:睡眠対策「健康づくりのための睡眠指針2014」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html