ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2017.06.08
前回、メンバーを育てるために相互依存関係であることを理解するのが大切であると説明しました。そして、そうした関係にあるメンバーに安心して働いてもらうにはロードマップを示す必要があることを紹介しました。今回はロードマップの具体的なポイントに加え、メンバーとの報連相についても解説します。
ここでいう「ロードマップ」とは、ゴールイメージであり、ゴールまでの道のりのことです。ロードマップには、図1 に示す6つの要素が必要です。これらの要素を明確にするために、「プロジェクトチャーター」(図2)や「プロジェクトライフサイクル設計フォーマット」(図3)を活用すると便利です。
特に、図1の(6)完了基準はプロジェクトの不確実性を小さくするために極めて重要ですが、明確にされないケースが多い項目です。しかし、この完了基準が定められていなければ、各フェーズにおいて達成すべき内容が曖昧になります。プロジェクトの後半になって、開けてビックリという事態になってしまいます。
あらかじめ各フェーズの完了基準を考えれば、各フェーズに潜むリスクに気付けたり、必要なリソースを確保できたりするメリットもあります。設計フェーズなら「何をもって設計が完了したと判断するのか」という基準を明確に定めてください。
上記の6つの要素とともにプラスワンとして、ぜひメンバーと話し合っていただきたいのが、7番目の要素である「裏の目的」です。裏の目的とは、ユーザーの要求から設定された目的とは別に、その仕事を通じてメンバーがどのような姿になりたいのか、どんな能力や技術を身に付けたいのかなど、「達成できたらうれしい」とメンバーが思えるような目的を指します。
プロジェクトは、ビジネス上の目的があって立ち上げられるものですから、当然、ユーザーの要求が最優先です。しかし、それだけでは面白みがありません。時間、コスト、労力をかけて取り組むわけですから、メンバーもみな成長できる場としたいでしょう。
そこで「この仕事を通じて、プロジェクトマネジメントのスキルを身に付けよう」、あるいは「社内でこの技術のオーソリティーとして認められるようになろう」「この商品でお客さまを『すごい!』とビックリさせよう」など、自分たちがワクワクするような目的を掲げるのです。各メンバーにテーマを持たせ、それに応じた役割を担ってもらえば、プロジェクトの成功にもつながります。
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執筆=芝本 秀徳/プロセスデザインエージェント代表取締役
プロセスコンサルタント、戦略実行ファシリテーター。品質と納期が絶対の世界に身を置き、ソフトウエアベンダーにおいて大手自動車部品メーカー、大手エレクトロニクスメーカーのソフトウエア開発に携わる。現在は「人と組織の実行品質を高める」 ことを主眼に、PMO構築支援、ベンダーマネジメント支援、戦略構築からプロジェクトのモニタリング、実行までを一貫して支援するファシリテーション型コンサルティングを行う。
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