税理士が語る、経営者が知るべき経理・総務のツボ(第68回)令和4年度税制改正大綱 電帳法に2年の宥恕措置

業務課題 経営全般 資金・経費

公開日:2022.01.13

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 2022年1月1日から施行された改正電子帳簿保存法(電帳法)の電子取引の保存義務において、「令和4年度税制改正大綱」(2021年12月10日公表)に2年間の宥恕(ゆうじょ)措置が盛り込まれました。これにより2年間は、これまで通り電子取引データを紙に印刷して保存することが認められます。

 1月から施行された電帳法は事前承認が不要になるなど、従来よりも適用要件が緩和されました(詳細は第66回67回に掲載)。そのため、中小企業においても取り組みやすいように見直されたのですが、電子取引データの保存に関しては電子保存が義務化され、事業者の多くが対応に頭を悩ませていました。

 改正前の電帳法では、ただし書きで、「財務省令で定めるところにより、当該電磁的記録を出力することにより作成した書面又は電子計算機出力マイクロフィルムを保存する場合は、電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存を要しない」とされていました。このただし書きが新しい電帳法では削除され、その電磁的記録を一定の保存要件に従って保存しなければならなくなったのです。

 電帳法では、源泉徴収に係る所得税を除く所得税および法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、一定の保存要件に従って、その電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならないこととされています。つまり、紙での保存はNGです。

 しかし、電帳法の具体的な取り扱いについて国税庁から公表されたのは2021年7月。運用開始まで半年を切っており、企業をはじめシステムメーカーにおいても対応が遅れるなどの状況でした。そのため、電子請求書の運用を開始していた会社でも、電子データ保存の不備を恐れて電子取引をやめてしまうケースも見られました。

 そこで令和4年度の与党税制改正大綱に、新しい電帳法に対応できない事業者対策として、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に行った電子取引については、新制度に円滑に移行するための「宥恕措置」を設けるとしました。「宥恕」とは、寛大な心で許すことということ。本来は取り組むべきことを、事情を考慮して「許容」しますよということです。

「宥恕措置」の整備…

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