税理士が語る、経営者が知るべき経理・総務のツボ(第81回)税務署が保有する納税者の資料情報

経営全般 資金・経費

公開日:2023.03.02

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 税務署から突然、税務調査の連絡が来ました。なぜ、私の会社(私)が対象となったのか理由があるのでしょうか?

 では、ご質問についてお答えしたいと思います。

 それは税務署・国税局が保有している納税者に関する資料情報(データ)を基に税務調査を実施しているからです。

 税務署・国税局においては、資料データを分析し、誤った申告をしている、または疑わしいと思える法人・個人を探し出し、調査を実施しています。現在では、すべての業務に関してデジタル・トランスフォーメーション(DX)化を図っており、国税庁の基幹システム「KSKシステム(国税総合管理システム)」を中心とした次世代の税務行政を進めています。

 各国税局が保有している各種資料についてもDXによってしっかりと整理されていますが、資料には法定資料法定外資料があります。法定資料は各税法に定められた、納税者が提出しなければならない資料です。代表的なものとしては「給与所得者の源泉徴収票」です。

 では法定外資料とはどういった資料でしょうか。

 それは、納税者の協力によって提出していただく資料です。どのようなものがあるかというと「一般取引資料せん」と総称されるいろいろな取引内容を記載した資料情報です。

 このような資料情報を納税者の皆さんから進んで提出していただけるかというと、なかなか難しいところです。税務調査時に売上金額の確認などの際に丁寧に説明し、情報提供をしていただきます。情報提供者が特定されないように配意して、職員には資料情報の存在が活用先に察知されないよう特段の配慮をするように研修を実施しているのが現状です。

 この取引内容を記載した任意提出の資料情報ですが、税務当局側の収集目的としては、現在重点取組事項としている以下の項目の内容に関して取引内容を確認するために、提出をお願いしています。

①富裕層への取組を実施するための資料情報
②大口課税・不正見込事案への取組を実施するための資料情報
③高額な追徴税額が見込まれる事案への取組を実施するための資料情報
④国際化事案への取組を実施するための資料情報
⑤無申告事案への取組を実施するための資料情報
⑥調査パフォーマンス向上への取組を実施するための資料情報

 決して忖度(そんたく)していただくようなお願いはしていませんが、国税当局としては望ましい結果になる場合もあります。

国際的な脱税や租税回避に対処…

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