偉大な先人に学ぶ日本ビジネス道(第17回)インバウンドに生かしたい日本旅行、南新助の発想

雑学

公開日:2017.10.25

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 製造業や諸サービス業が成熟を迎える中、21世紀の産業といわれているのが観光業。少子高齢化が進む日本においても観光業は経済成長の起爆剤の1つとして見られており、政府も観光立国化を打ち出しています。外国人旅行者によるインバウンド需要の開拓は、地方活性化の手段としても熱い目が注がれています。

 2015年、日本の国内観光消費額は25.5兆円で日本の旅行会社は約1万社。その先駆けとなったのが、南新助が創業した日本旅行です。

 新助は1885年、滋賀県栗太郡草津町(現・草津市)で生まれました。時は、日本の鉄道黎明(れいめい)期。1872年に日本で初めての鉄道が新橋〜横浜間で開業し、1889年には東海道線が開通します。

 新助と同名の父・南新助は、東海道線敷設の際、路線と草津駅建設の用地を無償提供するなど尽力した人物。その関係で東海道線の開通とともに草津駅構内で唯一、立ち売りの営業権を与えられ、南洋軒を創業しました。立ち売りの営業というのは、ホームでの駅弁売りです。また、その2年後には草津駅の構内と駅前に飲食店を開業しています。

 ちなみに、父・新助が創業した南洋軒は現在も駅弁や企業給食の会社として事業を続けており、「近江牛すき焼き弁当」は草津駅の名物弁当として全国的に知られています。

 父の事業の影響で鉄道を身近に感じて育った新助。汽車を使って何か新しいことができないかと考えるようになります。そんなときに知ったのが、汽車券の団体割引の制度でした。「この制度を使って団体旅行を計画すれば、安く旅行に行けるようになって喜ばれるのではないか」。これが新助の事業の原点になりました。

日本初の鉄道利用団体パック旅行を成功させる…

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