ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2020.11.26
2018年3月29日(現地時間)に行われたメジャーリーグ開幕戦でロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手は鮮烈なメジャーデビューを飾った。「8番指名打者」として先発出場し、その初打席にオークランド・アスレチックスの投手が投じた初球をライト前に打ち返し、米国の観客への挨拶がわりに初打席初球初安打を披露してみせた。
これで勢いに乗った大谷選手は、4月1日にはアスレチックス戦に投手として初登板し、初勝利を上げた。さらに3日のクリーブランド・インディアンス戦には指名打者として第1打席で初本塁打を放った。
勝利投手が2日以内に打者として出場した試合の初回に本塁打を放ったのは、実に1921年以来の快挙だという。そして97年前、その偉業を成し遂げたのがニューヨーク・ヤンキースのベーブ・ルースだという事実に驚かされる。投手と打者を両立させる「二刀流」をひっさげて米国に渡った大谷選手の活躍が「野球の神様」とたたえられることもあるベーブ・ルースと並び称されたのだ。
「二刀流大谷」の育ての親ともいえる北海道日本ハムファイターズの栗山英樹監督はそんな評価をどのような思いで捉えたのだろう。もしかすると、栗山監督には、左手でポンポンとグラブをたたきながらとうもろこし畑から出てくる童顔のベーブ・ルースの姿が見えたのではないだろうか。1989年に公開された米国映画『フィールド・オブ・ドリームス』の一場面のように。
メジャー挑戦から、少し時間を遡ろう。2012年のドラフト会議で、日本ハムファイターズが大谷選手を1位指名し、交渉権を獲得した。大谷選手は当時、高校卒業後にすぐにメジャーリーグに挑戦したいと公言していた。その大谷選手の心を動かしたのは、メジャーリーグで野球をするための最良のプロセスは、いきなり競争が厳しいマイナーリーグに身を投じるのではなく、まず日本で、そして日本ハムファイターズで野球をやることだという球団の説明だったという。
そして、大谷選手の入団が決まるとキャンプイン前から大谷選手を二刀流で起用すべきか、あるいは投手か、打者かという論争が巻き起こったことは記憶に新しい。プロ野球界の重鎮や有名選手が二刀流反対の声を上げる中で、しかし「二刀流でいく」という栗山監督の決断に迷いはなかった。
「大谷ほどの才能を持った選手を、はじめからプロ野球の枠にはめ込んで、固定観念で決め付けるようなことをしてはいけない。我々ごときの判断で、彼の人生は決められない。自分で結果を残しながら、自分が行きたい方向に進んでいけばいいのだ」
(伝える。言葉より強い武器はない 栗山英樹著)
その決断の背景には、現役引退後は野球解説者、スポーツキャスター、大学講師と野球界の外で20年にわたり幅広く経験を積んだことから生まれた洞察力があったのではないだろうか。
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執筆=藤本 信治(オフィス・グレン)
ライター。
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