ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
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公開日:2020.09.28
心と体の両面で健康を保ち、生産性を上げる方法を紹介する連載の第5回と第6回は記憶力を取り上げます。ビジネスパーソンにとって記憶力は重要です。しかし、年齢を重ねるにつれて記憶力に衰えを感じるケースは少なくありません。年齢に負けずに記憶力を維持し、さらにはアップさせるポイントを紹介します。前編の第5回は記憶力について説明し、なぜそれが衰えるのかを解説。後編の第6回では、具体的な記憶力アップのコツや記憶力をアップする食事について概説します。
「記憶力」とは、覚える力「記銘力」と、忘れない力「保持力」、そして思い出す力「想起力」という、3つの力を合わせた力です。
記憶をつかさどる脳の部位は、記憶の保持時間によって異なります。「即時記憶」は30秒程度の記憶で、脳裏にあるうちの記憶です。「近時記憶」は数分間から数十日間保持される記憶です。「遠隔記憶」は数十日以上保持される記憶です。「近時記憶」や「遠隔記憶」は脳裏から一度消えて、また思い出すことができる記憶です。
記憶は、即時記憶として一度収められた脳の部位から、別の部位に移されて、近時記憶や遠隔記憶に変わります。短期記憶のさらに短い時間、数秒から数分しか維持されない記憶がワーキングメモリです。例えば質問されて答えるときに、ワーキングメモリに質問が置かれています。
長く覚えておける「遠隔記憶」には、思い出や勉強などの、頭で覚える「陳述記憶」と、自転車の乗り方や泳ぎ方のように、身体で覚える「非陳述記憶」があります。さらに陳述記憶には、個人的な経験などに基づく「エピソード記憶」や、語学や数学の方程式など意識して覚える「意味記憶」があります。非陳述記憶はほぼ忘れません。何十年かぶりに自転車に乗っても、すぐに体が思い出します。陳述記憶のうち、意味記憶よりも、個人的な経験と結びついたエピソード記憶のほうが忘れにくい記憶です。
もしや「年を取れば、物覚えが悪くなる」と思っていませんか?実は健康な人の覚える力は年を取ってもほとんど落ちません。落ちるのは、実は、思い出す力「想起力」です。
若いときに比べれば、より多くのことを知っているのですから、より思い出しにくくなるのは、ある意味、当然です。思い出しやすい覚え方をして、さらに覚えたことを忘れない方法を身に付ければ、年を取っても、ちゃんと覚えて、ちゃんと思い出すことができます。
ただ、ワーキングメモリの働きは20代から30代をピークに低下します。ものを取りに2階に行き、「何を取りに来たんだっけ?」と思うのはワーキングメモリの働きの低下によるものです。
一方、認知機能が下がり、認知症への道を歩み始めると、しばしば、覚える力「記銘力」が落ちてしまいます。認知症は認知機能が落ちて、日常生活に支障をきたすようにまでなったという症状を表すだけの言葉に過ぎません。それぞれの認知症の背景には、アルツハイマー病性認知症や脳血管性認知症など、さまざまな病気があります。
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執筆=森田 慶子
医療ライター。1996年から、主に医師をはじめとする医療関係者向けの専門的な記事を執筆。2005年から患者向けや一般向けの医療や健康に関する記事も執筆。特に糖尿病や高血圧といった生活習慣病と、睡眠や認知症、うつ病などの精神科領域を専門とする。
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