五郎丸に影響与えた指導者の部下育成術(第2回)苦手なことはやらなくていい。「らしさ」を生かそう

人材活用

公開日:2016.01.21

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ラグビーワールドカップの大活躍で話題となった五郎丸歩選手。選手として基礎を固めた早稲田大学ラグビー蹴球部時代の監督が中竹竜二氏だ。五郎丸選手は、今でも影響を受けた指導者として中竹氏の名前を挙げる。中竹氏に結果を出す部下の指導法を学ぼう。

 連載第1回目は、部下を育てる際の言葉の重要性を解説した。今回からは「部下に気づきを与える」言葉のかけ方を説明する。部下が行き詰まっているとき、悩んでいるときに、彼らが視点を変えて、突破口を見いだすためには、どんな言葉をかければいいのか。まずは、部下と自分の思い込みを外すことから始めよう。

「らしさ」を存分に発揮させる

 部下がなかなか成長しない。頑張りが足りない。そんなふうに、フラストレーションを感じる上司は少なくないだろう。どんなに「頑張れ」と言ったところで、部下は簡単には変わらない。部下にしてみれば、すでに「十分頑張っている」と思う。だから、「頑張れ」という言葉は意味を持たない。それ以上どう頑張っていいのか分からない。そんな部下に、上司は新たな気づきを与える言葉をかけるべきだ。

 そもそも、部下に成長のきっかけを与えようとするとき、上司の側に「営業はこれ」「経理ならばこれ」「エンジニアだったらこう」というステレオタイプな「理想像」が刷り込まれてはいないだろうか。上司にそうした刷り込みがあると、部下もその期待に応えることが自分の務めだと思い込むようになる。

 例えば営業。一般的にはコミュニケーションスキルが高く、話し上手、聞き上手であることが理想とされる。だから、コミュニケーションが苦手な部下を持つ営業マネジャーは、その部下に対して話し方、聞き方のスキルを磨けとハッパをかけることになる。

 しかし、コミュニケーションスキルなど、そう簡単に伸びるものではない。伸びない部下を見て、上司は「努力が足りない」「営業としての能力が足りない」と悩む。そして、部下も伸びない自分を責め続ける。このように、お互いにうまくいかないフラストレーションを抱えることになる。…

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中竹 竜二

1973年福岡生まれ。93年早稲田大学入学、4年時にラグビー蹴球部主将を務め、全国大学選手権準優勝。卒業後、渡英しレスター大学大学院社会学部修了。2001年三菱総合研究所入社。2006年早稲田大学ラグビー蹴球部監督就任。2007年度から2年連続で全国大学選手権を制覇。2010年退任後、(公財)日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターに就任。近著に『部下を育てるリーダーのレトリック』(http://www.amazon.co.jp/dp/4822249719)がある。

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