「おひとり様グルメ」のシリーズ9回目は、国内39都道府県に店舗を持つ大衆中華料理チェーン「餃子(ぎょうざ)の王将」。ビジネスパーソンにとっては、出張先ではもちろんのこと、勤め先や最寄り駅の近くでもよく見かけるなじみ深いチェーン店です。今回は、新年「初」のコラムですので、チェーン1号店を紹介します。訪れたのは京都・四条大宮店です。
四条大宮は、京福電気鉄道嵐山本線(通称:嵐電)が1910(明治43)年に軌道路線を開業したエリア。嵐電の四条大宮駅、阪急京都線の大宮駅、市街地を縦横に走る京都市バスも多数の系統が集まるなど、京都観光の要所の1つとなっています。
パッと見て、ビルの外見に1号店らしさや特徴は見られません。看板に記された「1号店」の文字と「餃子の王将発祥の地 創業昭和42年12月25日」という刻印があるプレートがビルの角に埋め込まれていることに気付ければ、といったところです。
店はもともとビル1階のテナント物件でしたが、2009年にリニューアル。ビルごと地所を買い取って新築しています。見た目もキレイで「最近できたチェーン店の1つ」だといわれれば納得してしまうほど。餃子の王将チェーンは、国内はもちろん海外にも進出しており、700店を超えています。
店頭で、風よけにぶら下がっているビニールテントをくぐり、入店しても印象は同じ。忙しく立ち働くスタッフの様子がよく見えるオープンキッチンを中心に客席が構成されている全店共通の仕様です。
3フロア100席強の店内で着席し眺めていると、いつもの光景が繰り広げられています。客の入店を待ち構えるかのように「いらっしゃいませ、何名様ですか?おひとり様でしたらカウンターへ」とすぐさま案内してくれるホールスタッフ、矢継ぎ早に飛び込むオーダーをテキパキとこなし鍋を振るうキッチンスタッフ、客が勘定を終えた後のテーブルさばき。1号店らしいか分かりませんが、ほんの少しテキパキさが際立っているように感じられました。
よく拭き込まれて「油でツルリ」感がない店内の床やテーブル。クリーンネスへの力の入れようは、1号店ならではのこだわりでしょうか。飲食店としての基本が徹底している点でとても安心ができ、居心地がいいのです。何割増しかで食欲が沸き立ちます。
1号店に来たからには「限定メニュー」ではなく「定番メニュー」を
屋号に「餃子」をうたうだけあって、餃子(6個・税別220円)は外せません。定番はラーメンセットをはじめとした定食メニューです。組み合わせもいろいろあり、腹具合によって気軽に選べるのもリピーター好みです。
店舗は、ここ1号店と同様に本部が直接運営に携わる「直営店」と、加盟者を募って運営する「FC(フランチャイズ店)」に大別できますが、メニュー構成は店それぞれの立地や客層に合わせ、店側に高い自由度で任せるという特徴があります。
餃子など、全店共通の定番メニューが欠けることは許されていませんが、FC店によっては「台湾ラーメン」「トンテキ(豚ステーキ)」など店舗限定メニューを提供する店があり、メーンの餃子もつけだれは、「しょうゆ」「酢」「ラー油」を基本に据えながらも、味噌だれやウスターソース、練り辛子、生姜といったバリエーションが認められています。
ここ1号店では、他店と異なる際立ったメニューはない、と言ってもよいでしょう。外見・店内と同じく至って“王将スタンダート”です。「老若男女を問わず、誰にでも『おいしい』と言ってもらえれば。ここは王将ですから」とスタッフの1人は話します。気負いのない言葉からは、全店のお手本になるべく、基本をしっかり押さえたいという姿勢がうかがえました。
出張の多いビジネスパーソンの中には、そこでしか食べられない餃子の王将限定メニューを選ぶという人は多いと思います。しかしここはあえて、定番メニューの選択をお勧めします。
餃子は関西のほうが安い!
さて、今回注文したのは「餃子」2人前(1人前:税別220円)と、焼めし(税別400円)、マーボドーフ、当然と言わんばかりのド定番メニューです。盛りの多さが王将の特長なので、あえてマーボドーフはジャストサイズ(小皿/税別277円)にしました。レギュラーサイズは税別450円になります。
実は同じ定番メニューでも関東と関西では料金が異なります。看板商品の餃子も関東では1人前20円増しの税別240円、焼めしは50円増しの税別450円となり、東日本エリアに比べて西日本エリアの方が割安なのです。
ここで豆知識ですが、ジャストサイズのメニューは一部例外があるものの、全店ほぼ定額で提供されています。ちょい飲み好きの出張族や、少しずつたくさん食べたい人にとって、財布にやさしい安心メニューといえるでしょう。
注文から待たずして、出来立ての料理がカウンターに並びます。好みの調味料を加えて頬張れば、幸福感でいっぱいになります。入れ替わり立ち替わりの来店客も同じように満足そうです。「より美味しく健康に、より安心、安全、衛生的に」を企業目標に掲げる餃子の王将を、この1号店で改めて感じることができました。
セントラルキッチン方式で1次加工されたものが配送しているとはいえ、仕上げの調理は各店舖の裁量に任せられています。価格を気にせず安心して利用できる店として使うだけでなく、出張で全国を訪れるビジネスパーソンにとっては「その店らしさ」を見つけて小さな旅気分を味わえる店として、餃子の王将ののれんをくぐっていただきたいところです。
・取材店
餃子の王将四条大宮店(1号店)
http://www.ohsho.co.jp/
京都市中京区四条通大宮西入錦大宮町116-2
阪急京都線「大宮駅」・京福電気鉄道嵐山本線「四条大宮駅」より徒歩2分
平日・日・祝:11:00~深夜1:00(土:~深夜3:00)
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