ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2016.12.19
江戸時代、各藩から将軍や朝廷に差し出された献上品。地元の特産からえりすぐったその品々は、藩にとって自慢の逸品でした。この連載では、そんな逸品の中から今に伝わる「将軍様のお気に入り」を、当時のエピソードとともに紹介していきます。
今回ご紹介するのは、駅弁でもおなじみ、富山県の「ます寿司」です。
行きの電車では腹ごしらえに、帰りの電車ではご褒美に。出張の楽しみといえば「駅弁」というビジネスパーソンも少なくないのではないでしょうか。
今回ご紹介する富山県の「ます寿司」は、そんな駅弁の定番ともいえる商品。丸い容器に入った寿司をケーキのように切り分けて食べるのが特徴的で、ふたを開けると食欲を誘う酢の香りがほのかに漂います。寿司を包む深緑色の笹の葉をめくるたび、桜色のマスが姿を現し、2色のコントラストが目にも鮮やか。脂が乗ったマスの甘味と酢の酸味が絶妙で、あっという間に平らげてしまうという人も少なくないでしょう。
ます寿司のルーツは古く、1000年以上も前に遡ります。それを示すのが、平安時代の中期に編さんされた律令制度の法令集「延喜式」です。ここには諸国から朝廷への献上品をまとめた項目があり、越中、つまり富山からは「鮭鮨(さけずし)」が献上されたと記されています。この鮭鮨が、ます寿司の元となったといわれています。
鮭もマスも、富山県を流れる神通川で取れる魚。鮭とマスには明確な区分がなく、見た目も似ているため、この鮭鮨にはマスも使われていたのではないかという説もあります。また、鮨といっても当時は酢が一般的ではなく、「なれずし」という米と魚と塩を長時間かけて乳酸発酵させたものでしたが、長期保存ができるように加工した魚を米と1つにして食べるという、その原型は見て取ることができます。
脂の乗った魚が取れる神通川と、流域に広がる豊かな水田という環境が生み出した食文化だといえるでしょう。
\ かんたん入力で登録完了 /
執筆=かみゆ歴史編集部(www.camiyu.jp)
歴史コンテンツメーカー。歴史関連の書籍や雑誌、デジタル媒体の編集制作を行う。ジャンルは日本史・世界史全般、アート、日本文化、宗教・神話、観光ガイドなど。おもな編集制作物に『日本の山城100名城』(洋泉社)、『一度は行きたい日本の美城』(学研)、『戦国合戦パノラマ図鑑』(ポプラ社)、『系図でたどる日本の名家・名門』(宝島社)、『大江戸今昔マップ』(KADOKAWA)、『国分寺を歩く』(イカロス出版)など多数。お城イベントプロジェクト「城フェス」の企画・運営、アプリ「戦国武将占い」の企画・開発なども行う。
【T】