ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2017.03.24
経営とは決断の連続だとよくいわれる。中でも撤退の決断には、特有の難しさがある。
自ら見込みがあると判断して立ち上げた新規事業、長年助けられた取引先がいる商売、そして代々守ってきた家業……。これらの撤退には心の痛みが伴うからだ。経営指標などを見れば、頭では理解できても心で納得できずに、行きつ戻りつ迷うことはよくある。
迷いを捨て、素早く決断を下せる経営者としての覚悟を持つには、何が必要か。自らも修行により、心の迷いから抜け出した経験を有する僧侶の小池龍之介氏に伺った。小池氏は、撤退に迷う経営者の心には、自尊心への執着や傲慢さがあると指摘する。
経営者が自分で決めたことを撤回すると、周囲に対して「間違っていた」と認めることになります。しかし、経営者は、周囲に「自分が愚かでした」とさらけ出すことは避けたいでしょう。自らは多くの人の上に立つ、一角の人物だと思っている人ほど、その自尊心がかせとなって、部下の前で自身の間違いを認めようとしないものです。それで判断の時機を逃しやすくなります。
一方、謙虚な人ほど、朝令暮改といえるくらい素早く、自分の非を明らかにして方向転換ができる。そういう柔軟性があります。
2つ目のかせは、執着心です。人は労力をかけたり、投資をしたりした対象から、それに見合う成果を得たいと思うものです。そこにかけたものが大きければ大きいほど、人は何とかそれを回収したいと執着してしまいます。
賭け事で100万円の損をしたら、取り返すために汗水たらして働くより、賭け事で200万円を取り返したいと思う。それと同じように、うまくいかない事業があっても、そこに投じた時間や費用を何とか取り返せないかと考え、決断が鈍るのです。
\ かんたん入力で登録完了 /
小池 龍之介(こいけ・りゅうのすけ)
1978年、山口県生まれ。東京大学教養学部卒業後、2003年に活動内容やメッセージを紹介するウェブサイト『家出空間』を立ち上げる。現在は、月読寺(神奈川県鎌倉市)と正現寺(山口県山口市)で住職を務める。住職としての仕事と修行のかたわら、座禅指導や講演活動を行う。主な著書に『考えない練習』(小学館)、『こころのおまもり:仏教的〈自然体〉の手ほどき』(三笠書房)などがある
【T】