梅雨の時期から初夏にかけては、誰もが電車通勤や移動で汗をかいてしまいます。衣類や皮膚に付いた汗を放置すると、周囲の人が思わず顔をしかめてしまう汗臭さを放つことに……。第1回の「最新の身だしなみ事情」では、汗をかいても臭わないようにするための対策を紹介します。
エクリン腺は、人間の肌の表面ほとんどに分布しています。そこから出る汗の成分は、ほとんどが水です。エクリン腺から出る汗自体に臭いはありませんが、時間がたつと汗により皮膚表面の常在菌が増殖し、それが皮脂や角質の栄養分を分解するときに、臭いが発生します。この状態がいわゆる「汗臭い」状態となってしまうのです。
一方でアポクリン腺は、脇の下、陰部、耳の中(外耳道)などに存在しています。ここから出る汗は、タンパク質や脂質が含まれているため雑菌が繁殖しやすく、特有のニオイがあります。これも悪臭の元となってしまいます。
つまり、汗臭さを抑えるためには2種類のケアが必要なのです。1つはエクリン腺から出てくる汗をこまめに拭き取ること。もう1つは、アポクリン腺から出てくる汗に対するケアになります。
汗臭くならないためには、汗をかいたら素早く洗い流すこと。特に寝起きのシャワーは、毎日欠かさずにやっておきたいケアの1つです。
季節にもよりますが、人は寝ているときに200mlから600ml程度の汗をかきます。寝ている間は長時間にわたって汗を放置することになるため、前述した通り皮脂と反応し、汗臭さの原因になります。
そんなときは、例えば「8x4 MEN デオドラントボディウォッシュ」(花王)などの新製品に注目してみましょう。この商品は、寝起き時の悪臭を防ぐ成分(殺菌防臭成分:イソプロピルメチルフェノール)を配合したボディーソープで、就寝前の入浴時に使用すると効果的です。
朝のシャワーで汗を洗い流したら、外出前には制汗剤を使用します。制汗剤には「パウダーで汗を吸着して、ベタつきを抑える」「殺菌成分で菌の繁殖を抑える」「肌をクールダウンさせる」といった効果があります。
代表的な商品としては、スプレータイプの「エージーデオ24 メンズデオドラントスプレー」(資生堂)やジェル状の「デオドラントZ」(花王)が有名です。これらの商品には殺菌成分が含まれており、汗をかいたとしても、臭いの原因物質の生成を防ぐことができます。
仕事中となると、シャワーを簡単に浴びるのは難しい話です。こんなときに便利なのが、コンビニやドラッグストアで販売されている「汗ふきシート」です。殺菌防臭成分が配合されており、汗や皮脂汚れを落として汗臭さを防ぐだけでなく、肌のニオイの原因菌を殺菌し、防臭する効果も期待できます。
この他にも、「カラダと頭皮のデオペーパー アイスタイプ」(マンダム)、「ビオレ さらさらパウダーシート」(花王)といった商品もありますので、帰宅途中のドラッグストアで相談してみるのがオススメです。
制汗剤を使い過ぎるともっと臭くなる?
先ほど臭い対策として制汗剤を紹介しましたが、使用する際には気を付けるべき点があります。それは、汗や臭いを抑えたいあまり、制汗剤を過剰に使ってしまうことです。
制汗剤には毛穴を引き締め、汗を抑える作用のある「収れん剤」という物質が使われています。さらに臭いを抑え、肌をサラサラにキープするためのパウダー入りの商品もたくさんあります。こうした成分は、適度に使用する分には何ら問題ありませんが、過剰に使用することで、毛穴が塞がってしまい、老廃物がたまりやすい状況をつくってしまいます。
毛穴の中に老廃物がたまってしまうと、毛穴の中で炎症が起こる可能性も高く、肌トラブルの原因になります。肌トラブルがひどくなってしまうと、制汗剤を使うこともできませんし、化膿(かのう)してしまうと、汗とはまた異なる臭いの原因にもなります。制汗剤を使用すること自体は悪いことではありませんが、過剰に使用しないよう気を付ける必要があります。
汗が臭うメカニズムを知り、その対策を立てておけば、これからの夏を快適に過ごすことができます。スマートに夏を乗り切りましょう。
※掲載している情報は、記事執筆時点(2017年6月4日)のものです