シワや汚れが無く、スーツのシルエットが美しい人と、クタクタのパンツにヨレたジャケットを着込んだ人では、第一印象が与える影響に大きな違いがあります。たとえ仕事がバリバリできる人であっても、シャキッとしたイメージのない人は、クライアントや上司からは“どこか信頼できない印象”を持たれてしまいます。今回はちょっとした工夫で、シャキッとしたシルエットを維持できる“スーツのお手入れ術”を紹介します。
スーツを綺麗に、かつ型崩れさせることなく整えておく方法として、真っ先に思い浮かぶのはクリーニングに出すことです。しかし、頻繁にクリーニングするとスーツの寿命は縮まります。生地はもともと傷みやすいからです。
スーツを長持ちさせるための適切なクリーニング回数は、頻度や季節にもよりますが、1~3カ月に1回がよいとされています。毎日同じスーツを着るわけではないので、ローテーションによっても変わってきます。
かといって、帰宅してハンガーに掛けておけばOKといかないのが、スーツのちょっと面倒臭いところです。ところが、日ごろからほんの少しお手入れする時間をもうけることで、スーツの寿命は延びます。加えてクリーニング代の節約にもなります。
スーツをくたびれさせない方法として、基本となるのは「生地を傷めない」「形を崩さない」「ニオイ対策」「休ませる」の4種類です。
スーツがくたびれてしまう要因の1つが、埃と汗。これらは繊維に入り込んで生地を傷めるので、日ごろのお手入れの中心はブラッシングがよいでしょう。ブラシは何でもいいわけではありません。専用ブラシのほうが、細かな汚れが落とせるだけでなく、静電気による埃の吸着を防いでくれます。
オススメの洋服ブラシは池本刷子工業の「KENT 静電除去服ブラシ ミディアムサイズKNC-3422」です。ブラシは、スーツ生地に適した白馬毛をメーンに使用し、さらに中央部分に静電気を除去する銅イオン含浸アクリル繊維を使っています。白馬毛が、カシミヤの柔らかさや上質ウールのしなやかさを損なわずに、風合いを保ってくれるでしょう。
ブラッシングする際の注意点は、ポケットを空にしてハンガーに掛けること。肩、胸、背中、両袖、裾の順にブラシをかけるのが基本です。ブラッシングのコツは、最初は繊維の流れに逆らってブラシを当てて埃をかき出し、次に繊維の流れに沿ってブラシをかけることで、埃が落ちやすくなります。最後に、襟やラベルの裏側、ポケットの内側をブラッシングします。ブラシを横にして、力を入れずに手首を回転させながら、埃を払い飛ばすイメージで軽くブラッシングしてください。
ハンガーはスーツの整体師
スーツにとって型崩れは天敵です。回避するには、ある程度厚みのある木製ハンガーを使いましょう。ハンガーの厚みがスーツの肩口の形状を保ち、木製であることで防湿効果が期待できます。ながしおの「高級木製オリジナルハンガー」はブナ材でかつ、肩口を常に良い状態に保つための形状を追求した商品です。
この他、アパレルブランドやホテルなどの業務用として主に使われている中田ハンガーの「AUT-05/メンズスーツハンガー」もオススメです。熟練職人による手仕事商品で、首から肩にかけての形状を人体に近づける工夫が施されています。ハンガーの肩先部分に厚みを設けており、コート用としても重宝しそうです。
同じ中田ハンガーの「AUT-07(フック玉有り)/木製ズボン吊りハンガー」もオススメです。スラックス専用のハンガーで、厚手のものから薄手の生地にも対応しています。スラックスの型崩れは膝裏に付きやすいシワなので、つるすことで生地をいたわってあげましょう。挟む部分にはスラックスの縫い目を逃がすくぼみも作られており、細かいところまで配慮がされています。
実は、ハンガーにも服と同様にサイズがあります。購入の際はサイズに合った幅のものを購入しましょう。
シワと臭いと解消するアイテム
とはいえ、日ごろのお手入れでは消せないほどのシワが付いてしまった場合は、アイロンスチーマーの蒸気を使って伸ばしましょう。
パナソニック「衣類スチーマー ブラック NI-FS530」は、ハンガーに掛けたままで、生地のシワを伸ばせる優れものです。電源を入れて約24秒後には使用できるのが好評です。出掛ける直前に気付いたシワも素早く伸ばせます。またスチームを使うことで、生地の表面に付着した臭いの粒子も除去できるのが人気の理由です。
もっと手軽にシワを伸ばしたり、消臭したいという人には、ハンガーに衣類を掛けたままスプレーできるライオンの「お洋服のスタイルガード」がオススメです。
スーツにも休暇が必要です
ご存知の通り、スーツは毎日同じものを着るのではなく、1日着たら2~3日は休ませるのが長持ちの秘訣です。大量の汗を吸収しぬれた状態のまま、埃をあびたり、ハンガーからズレてしまうと型崩れが起こりやすくなったりします。ですので、第一印象を改善したいなら、2~3着のスーツを着回すようにしましょう。
最後に、クリーニングに出す時の注意点です。通常のドライクリーニングだけでは皮脂など油性の汚れにしか対応していませんので、水溶性の汚れにも対応した「汗抜き」のオプションも付けるようにしましょう。
大事な「ビジネスツール」の1つであるスーツをシャキッとさせて、周囲への第一印象を変えてみませんか。
※掲載している情報は、記事執筆時点(2017年9月19日)のものです。