ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2015.07.01
ビジネスをする以上は、「辛く面白くない職場」よりも「楽しく仕事ができる職場」の方が良い。従業員が楽しく働ける環境でも、会社が儲からず運営できなくなっては意味が無いし、逆に会社がどんなに利益を生み出していても、従業員が仕事を楽しめなくなってしまっては、従業員に幸せは訪れない。
会社全体も、個々の従業員も、すべてが良好な状態であることを理想としているのは間違いない。それならば、個人が楽しく働き、それが会社全体へと還元されるような組織を作るためにはどうすればよいのか? 個人と組織、両方にとって理想的な会社に変えるための方法を、これから数回にわたって明らかにしていく。
個人と組織を両立するためには、まずは「個人」「組織」それぞれにとって理想となる状態を確認しておきたい。まずは「個人」から取り上げる。
以前掲載した連載「成果主義から『楽しめる仕事・職場』幸福主義へ(全4回)」では、いまだ失敗報告が後を絶たない成果主義の問題を分析したが、ここでは個人が楽しんで仕事ができるようマネジメントすることによって、個人、そして会社の業績向上につながるという、心理学者・チクセントミハイが発見した「フロー理論」という考え方を論じた。
フロー理論について簡単におさらいをしておこう。フローとは、目標を志向したうえでの内発的な動機と現在立ち向かっている挑戦とが重なることによって、ある物事に没頭し、高い集中力を保った状態のことを指す。
それは、ひとつの物事にすべての注意が向けられ(注意の集中)、意識のみならず活動が一体となって集中し(意識と活動の融合)、我を忘れて没頭している状態でありながらも(自己意識の消失)、活動そのものを完全にコントロールし、自分の意識で活動している状態でもある(コントロール感)。時が過ぎるのを極端に早く感じたり、逆に極端に遅く感じたりすることもあり(時間感覚の変容)、その活動自体が目的化しているため対価を必要としない(自己目的性)、まさに純粋にそのことを楽しめている状態である。
ひとつのことに没頭し、楽しみ、結果として成果が上がる。つまり、個人の欲望の追求であり、挑戦である。それがフロー理論の根幹である。
「組織」については、これも過去に掲載した連載「どうすれば会社を変えられるのか?(全3回)」にて述べた。「会社を変えたい」「なんとかしたい」と考えている人が多いにも関わらず、会社はなかなか変わらない。それでは変わるためにはどうすればいいのか、会社が変わるメカニズムや方法論を踏まえ、それが機能する土壌を作るためには、心理学者アルフレッド・アドラーが提唱する「共同体感覚」が必要であることを論じた。
共同体感覚についてもおさらいしておこう。共同体感覚とは、自分は全体の一部であるという考え方で、あくまで一部であって中心ではないことを自覚することが第一歩となる。そして、自分への執着を他人への関心に切り替え、どうすれば全体が幸せになれるかを考えて行動することである。もちろん他者から承認を得られないリスクもあるが、他者を仲間だと見なし、自ら積極的に関わろうとすることによって得られる感覚なのだ。
つまり、常に「全体をどうするか」「どう関われるのか」を考え、そのために行動をする必要があるのだ。
仕事を楽しくする方法と会社を変える方法、それぞれを論じてきたが、仕事を楽しくできる会社に変えようとした場合、「フロー」と「共同体感覚」というふたつのことを実行できれば一番の近道になることだろう。
しかし前述の通り、フローのベースは個人的な欲望の追求志向であり、共同体感覚は全体のあるべき論である。あたかも正反対のポイントで論じられているふたつのセオリーを同時に成立させることなどできるのだろうか。
ここでひとつ、プロ野球の例を取り上げて考えてみたい。かつての阪神タイガースの大エースで、退団後は、南海ホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)、広島カープ、日本ハムファイターズと、優勝請負人の異名を取るリリーフエースとして球団を渡り歩き、現役の最後は大リーグに挑戦した往年の名投手、江夏豊にフォーカスしてみよう。…
\ かんたん入力で登録完了 /
執筆=峯 英一郎(studio woofoo)
ライター・キャリア&ITコンサルタント。IT企業から独立後、キャリア開発のセミナーやコンサルティング、さまざまな分野・ポジションで活躍するビジネス・パーソンや企業を取材・執筆するなどメディア制作を行う。IT分野のコンサルティングや執筆にも注力している。
【T】