仕事が楽しくできる会社に変えるために(第2回)生物学から見る、個人と組織の欲求を両立する方法

雑学

公開日:2015.07.01

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 仕事を楽しめば成果も上がる「フロー理論」と、会社を変えるために必要な「共同体感覚」が高次元で両立すれば、個人が仕事を楽しめる一方で、業績の上がる会社に変えることができる。

 第1回では、往年の名投手・江夏豊の逸話から、フロー状態と共同体感覚は両立すること、そして、フロー状態を創り出せる人間は同時に共同体感覚をも兼ね備えている、という説を述べた。

 今回はフロー状態と共同体感覚の両立について、更に生物学的な見地から検証していく。

共同体感覚の起源

 共同体感覚は、自分への執着を他人への関心に切り替えることが必要であった。すなわち、決して利己的にならず、利他的であることと言い換えられるだろう。

 利他的(利他性)とは、理性や心、優しい感情、道徳知識を持つ高度に進化した人間ならではの特性であるように思われる。しかし、実際はそうではない。実例を元に考えると、そのことが容易に理解できる。

 たとえば、アリやハチは、自分の子ではなく、女王アリや女王バチの子を育てるために、働き者の代名詞になるほどせっせと働く。そればかりか、子を育てている巣を、外敵から自分の身を犠牲にしてでも守り抜くことが知られている。

 こうした利他的な行動は昆虫のみならず、ライオン、シャチ、ベルベットモンキー(アフリカ大陸に生息するサル)など、さまざまな動物にも確認されている。

 ダーウィンの進化論で周知の通り、我々人間もまた、他の生物と同様に唯一の生命体から進化し続けてきた結果に他ならない。もちろん人間の脳も同じである。人間の脳の構造は、大きく分類すると爬虫類脳、旧哺乳類脳、新哺乳類脳に分類することができる。簡単に紹介すると、以下のように説明される。

(1)爬虫類脳……心拍、呼吸、血圧、体温などを調整する基本的な生命維持の機能
(2)旧哺乳類脳……個体の生存維持と種の保存に役立つ快・不快の刺激と結びついた本能的情動や感情、行動につながる動機を生起させる機能
(3)新哺乳類脳……言語機能と記憶・学習能力、創造的思考能力、空間把握機能など高次の脳機能

 人間の利他性は、新哺乳類脳で言語化されたことではじめて生まれたものではない。それ以前に、生命維持機能として、爬虫類脳や旧哺乳類脳で自己保存するためには集団を保存するのだとDNAに刻み込まれているのだ。利他性は、アリやハチたちと同様に生命維持機能として、無意識レベルで備わった能力なのである。

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執筆=峯 英一郎studio woofoo

ライター・キャリア&ITコンサルタント。IT企業から独立後、キャリア開発のセミナーやコンサルティング、さまざまな分野・ポジションで活躍するビジネス・パーソンや企業を取材・執筆するなどメディア制作を行う。IT分野のコンサルティングや執筆にも注力している。

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