“ゆとり君”と働くために覚悟しておくこと(第9回)現場には必ず“期待値”があると理解させる

コミュニケーション

公開日:2016.01.14

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 みなさんの会社でも、新入社員にはまず「挨拶をきちんとすること」を教えると思います。当たり前ですよね? 入社後しばらくたった頃、ある会社のフォローアップ研修の席で、新入社員からこう質問されたことがあります。

 「『挨拶をきちんとしろ』と教えられて、その通りにしているのですが、上司や先輩はきちんと挨拶してくれません。『おう』とか『やあ』とか。これはなぜですか?」

 会社からそれぞれの社員に対しての「期待値」があるということを知らない、ゆとり世代ならではの疑問です。ベテラン社員も挨拶ができれば、もちろんそれに越したことはありません。しかし、ベテラン社員に求められている期待値は何よりも「仕事で結果を出すこと」です。

 一方、新入社員が最初から仕事で結果を出すのは難しいことです。それは会社も十分に分かっています。だから「せめて挨拶はきちんとできるようになれ」という期待値を新入社員に対して示しているのです。また、そういう態度が、後述する心構えその4「教えられ上手になる」ために必要なのです。

 ところが、「期待値」の意味が分からないため、ゆとり世代は仕事でちょっとつらいことや嫌なことがあると、落ち込んでしまって気持ちを切り替えられず、挨拶ができなくなります。そのことで会社の期待値の最低ラインを満たせず、「あいつはダメだ」とレッテルを貼られてしまうのです。

 例えば学生時代、野球部にいたとしましょう。先輩に「おはようございます!」と元気よく挨拶をしたとしても、先輩からは「おう」とか「ああ」程度しか返ってきません。また部活中に先輩にひどく怒られたとしても、それはそれ、挨拶は挨拶と切り替えます。怒られても、しごかれても部活が終われば威勢よく「おつかれさまでした!」と挨拶をした、懐かしい経験のある方も多いでしょう。

 ゆとり世代はこうした「実社会の縮図」のような経験がとても少ないため、切り替えができないのです。むしろ「怒られた人に挨拶をするのは怖い」と考えてしまいます。挨拶にとどまらず、ビジネスにはそれぞれの立場の社員に求められる「期待値」があります。ほかのことに影響されず、それを実行するということをまず教えなければなりません。

ビジネスの根幹は自動販売機と同じ…

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柘植 智幸じんざい社

1977年大阪生まれ。専門学校卒業後、自分の就職活動の失敗などから、大学での就職支援、企業での人財育成事業に取り組む。就職ガイダンス、企業研修、コンサルテーションを実施。組織活性化のコンサルティングや社員教育において、新しい視点・発想を取り入れ、人を様々な人財に変化させる手法を開発し、教育のニューリーダーとして注目を集めている。さらに、シンクタンクなどでの講演実績も多数あり、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、経済界、日経ベンチャーなど多数のメディアにも掲載される。

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