ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2015.08.20
中小企業はこれから、相次いで人件費増加の“嵐”に見舞われる。4月施行の改正パートタイム労働法で、有期契約でも一定のパートには正社員と同じ賃金を払う義務が課された。今国会に提出された労基法改正案(PDF)には、賃金割増率の猶予撤廃などが盛りこまれた。
「正社員と同じ仕事をしているパートタイマーについては、時給を上げた」。ある地方スーパーの幹部はこう話す。昨年改正されたパートタイム労働法が、4月に施行されたのを受けての対策だ。
同法には、「通常の労働者と同視すべきパート」という定義がある。改正前は、(1)職務の内容、(2)転勤の有無など人材活用の仕組み、(3)無期労働契約――という3つの条件をすべて満たすパートだけがこれに当てはまり、賃金をはじめとするあらゆる待遇面で、正社員との差別的な取り扱いが禁止されていた。
それが今回の改正で、(3)の条件が削除された。「1年」とか「3カ月」といった有期の労働契約を結んでいるパートについても、(1)と(2)を満たす場合には、時給換算で正社員と同じ額の賃金を支払う必要が出てきた。
「中小企業では、正社員よりパートのほうが多く、しかも同じ仕事をしているケースはめずらしくない」(都内で開業する社会保険労務士)というのが実態だ。パートやアルバイトの雇用に詳しい働きかた研究所の平田未緒所長も、「人材活用の仕組みが同じかどうかの判断は難しいが、それを考慮しても、直ちに賃上げが必要な会社はある」と指摘する。流通や外食など、パート社員の比率が高い中小企業の経営に、今回の法改正が与える影響は決して小さくないだろう。
加えて改正では、「パートと通常の労働者の待遇を変える場合、その差は職務の内容や人材活用の仕組みなどの事情を考慮して不合理であってはならない」という規定が新設された。パート雇い入れの際、待遇面での差別的取り扱いの禁止や、賃金制度の決定方法、教育訓練や福利厚生施設などに関して、説明する義務も事業主に課された。
社労士事務所HRMオフィスの杉山秀文氏は、「会社側の説明責任が強化されたインパクトは大きい。事業主は待遇差の根拠を説明できるようにしなければならなくなった」と指摘する。待遇に関する情報がオープンになれば、パートの権利意識は高まり、さらなる待遇改善を求める動きも出てくるはずだ。「『パートだから』と別扱いはせず、仕事の内容と責任に応じてきちんと処遇すべき」と、働きかた研究所の平田所長はアドバイスする。
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