ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで“学び”が進化する
公開日:2017.11.16
中小企業だからこそできる、ユニークな「お披露目」方法が話題となっている。その目的は、関係者への社長交代の告知、値上げ実施のおわび、製品イメージの転換とさまざま。独自の「公開」戦略を活用し、大企業とは異なるアプローチで企業価値の向上に成功した事例を紹介する。
急速に広がるクラウドファンディング。まだ見ぬ新しい製品やサービスに、不特定多数の支援者が資金を提供し、実現化する仕組みだ。支援者は、開発段階から折に触れて公開されるさまざまな情報に触れることで、製品の完成に向け一層の期待と愛着を深めていく。
今回紹介する中小企業3社の「ディスクローズ戦略」は、関係者や消費者にクラウドファンディングの支援者に似た心理効果をもたらしている。各社が抱える課題や思いをオープンにすることで共感や賛同を呼び、企業や製品の支援者を増やした。
2017年6月、自社の社長交代を新聞の一面広告で発表したのが、菓子メーカーのチロルチョコ(東京・千代田)だ。「チロルチョコの社長がかわりました!!」という文字の下、力いっぱいハンドルを握る「仮免許練習中」の新社長。助手席には両手で目を覆う前社長(新会長)――。
傍らには「誠に勝手ながら本掲載をもってお取引先各位へのご案内に代えさせていただきます」と挨拶文が並ぶ(下写真)。
チロルチョコは今年6月9日、日経MJの一面広告で社長交代を発表
インパクトたっぷりの広告を発案したのは松尾利彦会長(当時社長)だ。息子の松尾裕二社長は掲載のきっかけをこう語る。
4代目の松尾社長は31歳。「今後はアジア圏を中心に海外で売り出したい」と意気込みを語る
「社長交代の挨拶状を取引先に送るだけでは印象に残らない。せっかくなので面白い方法はないかと考えた」。その点「日経MJ」に広告を出せば、卸や小売店など菓子業界の関係者に一度に告知ができる。自社らしさを表現する楽しいビジュアルなら、記憶にも残るはずだ。
掲載当日、関係者よりも早く反応したのは一般読者だった。朝8時台にはツイッターで「愛するチロルチョコ。社長交代のお知らせもこれで済ましちゃう、素敵すぎ!!」と写真入りで紹介。以降3万3000回以上リツイート(引用)され、瞬く間にネットで話題となった。
やがて広告を見た関係者からは「チロルさんらしくて面白かった」と好意的なメッセージばかりが寄せられた。挨拶状がないと文句を言った関係者は1人もいない。
チロルチョコといえば、これまで「きなこもち」「カレーパン」など、チョコレートのイメージを覆すユニークな味を次々と世に出してきたメーカー。「楽しいかどうかで商品化が決まる」(松尾社長)という柔軟性の高い企業風土を、社長交代の周知とともに広く再認識させ、ファンを喜ばせた。
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