ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2015.07.01
東京・新宿西口の高層ビルでスタートアップのベンチャー企業と大手企業とを結ぶユニークなイベントが、毎週木曜日の早朝に開かれている。デロイトトーマツ系のベンチャー支援会社、トーマツ ベンチャーサポートと野村証券が共催する「Morning Pitch(モーニングピッチ)」だ。
毎回4~5社のスタートアップ企業がビジネスモデルや事業内容のプレゼンを行い、大手企業は新規事業開発などでの連携の可能性を探るというもの。2年前、このイベントを中心となって立ち上げたトーマツ ベンチャーサポート事業統括本部長の斎藤祐馬氏へのインタビューの2回目をお届けする。
――斎藤さんが公認会計士を目指した理由は?
斎藤:高校受験で志望校に落ちたことが、大きな挫折になりました。1年間くらいはふてくされて過ごしていた。でもこれじゃだめだなと思って図書館でいろいろ調べていくうちに、公認会計士という職業を知りました。
小学生のときに『三国志』や『項羽と劉邦』などを読んで、何十万人の大軍に対して数万人の兵士で勝利する優秀な軍師にあこがれました。公認会計士って会社の医者というか、経営者にとっての参謀のようなものですよね、それが結び付いた。
もうこれしかないと思って、調べてみると慶應義塾大学の経済学部が受かる人が最も多いと。入学したらしたで、今度はダブルスクールで、専門学校にも行って勉強しないと受からない。両親にも負担をかけられないので奨学金をもらいながら勉強して何とか合格しました。ベンチャーといえば会計士業界だとトーマツが有名で「よし、ベンチャーを支援するぞ」と思って入りました。ところが、監査法人の本業は上場企業の決算書のチェックがメインなんですね。当初の自分の思いとは、すごいギャップがありました。
――そうですよね。でも、トーマツにはベンチャーを支援する部署もあったと思いますが。
斎藤:ベンチャー担当の部隊は、どうしても上場直前の会社を支援することが多い。僕も最初はそういうものだと思っていたのですが、ベンチャーの人たちに会えば会うほど、違う気がしてきた。起業している何百万社のうち、監査を受けているのはたぶん数万社ぐらい、ほんの上澄みなわけです。そこにもギャップを感じ、もっと若いベンチャーの、起業してからお金儲けするまでの段階の支援をしなければダメだと考えました。それで業務外で夜や土日を使ってそういうベンチャーのバックアップを始めたのが、今の活動の原点です。
――そのころは具体的に何をやっていたんですか。
斎藤:とにかくベンチャーの人に会いに行くわけです。実際に会ってみると彼らの頭の中の7割は売り上げをどう作るか、ということなんですね。あとは資金をどう調達して、どうやって人を採用するかといった課題がある。会計とか、そういう話はもっと後の段階の話なんです。だから、そこでできることがあまりない。自分にできることは何なのかを少しずつ考えました。
ビジネスモデルをいきなりブラッシュアップするというのはなかなか難しくて、時間がかかります。そこで、大企業の新規事業担当とかベンチャーと組めそうな人のネットワークをつくることは意味があると気付きました。あるいはPR活動では、例えば新聞記者の方と知り合いになって、企業に一緒に行ってもらったりしながら、まずベンチャーのファンになってもらったり、あとは弁護士や税理士とか弁理士といった、いろいろな分野の専門家を見つけてきてそういう人たちをつないだり。
採用に関しては、例えばCFOなどのネットワークをつくって紹介したり、海外進出の支援をしたり、ニーズを聞きながら、そうことを何年かかけて1つずつやってきた中で、今のベンチャーサポートの支援メニューができあがった。
――なるほど。でも本業は公認会計士でありながら、こうしたベンチャー支援に軸足を移せるようになったのはいつ頃からなのですか。
斎藤:いまのベンチャーサポートという会社は休眠会社だったのですが、2010年に休眠を解くことになりました。ただ、そのときも業務はまず監査ありきで、支援業務は空き時間でやるというのが条件でした。半年ぐらいである程度の成果を出して、そこから監査とベンチャーサポートを半々に。それを1年やってようやく100%サポートに専念できるようになった。そこからようやく3年です。
――今、ベンチャーサポートは何人ぐらいのスタッフがいるのですか。
斎藤: 今は150人です。東京は専属で地方は兼務の人が比較的多い。そして地方は基本が会計士ですが、東京は会計士以外の人が多いです。ベンチャー支援には会計士だけではなく、いろんな能力が必要です。コンサルティングファームだったり、官公庁や、あるいは事業会社だったり、起業経験者やベンチャーのCFOをやっていた人や、マーケティングの専門家などもどんどん採用して、ベンチャーに強くて、そして事業もきちんと分かっているような集団をつくっていこうとしています。
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斎藤 祐馬
トーマツ ベンチャーサポート事業統括本部長 1983年愛媛県生まれ。慶應義塾大学を卒業後、2006年にトーマツに入社。2010年にトーマツ ベンチャーサポートを事実上立ち上げた。公認会計士でもある。
※トーマツ ベンチャーサポートは、2017年9月1日より「デロイト トーマツ ベンチャーサポート」に社名変更しました。
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