ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2015.07.06
東京・新宿西口の高層ビルでスタートアップのベンチャー企業と大手企業とを結ぶユニークなイベントが、毎週木曜日の早朝に開かれている。デロイトトーマツ系のベンチャー支援会社、トーマツ ベンチャーサポートと野村証券が共催する「Morning Pitch(モーニングピッチ)」だ。
毎回4~5社のスタートアップ企業がビジネスモデルや事業内容のプレゼンを行い、大手企業は新規事業開発などでの連携の可能性を探るというもの。2年前、このイベントを中心となって立ち上げたトーマツ ベンチャーサポート事業統括本部長の斎藤祐馬氏へのインタビューの3回目をお届けする。
――ベンチャーの起業が難しい一方で現状は、大企業が新規事業を起こすことは難しいですよね。
斎藤:それは2つ理由があります。1つは成功事例がそもそも少ないということと、成功している人がそれを発信していないということがある。だから成功しても、それが明らかにされないのでノウハウが共有されないわけです。
大企業のトップの人たちは経団連などでつながりますし、ベンチャーの起業家たちは可視化されていて仲が良いケースも多く、すごく情報共有している。しかし、大企業の新規事業担当者同士は、情報を共有する仕組みがないのです。だから「モーニングピッチ」の1つの役割として、そのモデルになることを目指しています。我々は大企業とベンチャーの間の塀の上を走るような生き方というか、どんどん新しいことを一緒に生み出していく、そういうビジネスモデルをつくっていきたい。
――大企業では先ほどのカベ理論じゃないけれども、新規事業担当になっても周囲のカベにつぶされて、なかなか新しい事業に挑戦できない人たちも多いイメージですが。
斎藤:ほとんどがそうだと思うんです。実際、新規事業担当者を3年もやれば雑学王になって、そして違うところに異動するみたいな揶揄をよく聞きます。何が足りないのかと考えると、まずはマインドです。わざわざベンチャーを起業する人は、人生において辛かったこと、すごく良かったことなどがフックになって、世の中や社会問題に関心を持っていることが多い。この問題を変えたい、解決したいみたいな理念から、わざわざ安定を捨てて新しいことをやるわけです。そういうストーリーがあり、目標として登りたい山があり、ライフワークとして立ち向かっていく。
それに対して、大企業では、どうしても自らのテーマよりも、上から降って来たテーマを事業として検討することが多い。あと5年、10年この新規事業をやれますかと問われたときに、きちんとやっていけると答えられるかどうかが腹を括っているかどうかのリトマス紙になる。
自らの経験に基づく事業のストーリーで周りの共感を得ること、そして自分の腹の括りを背中で見せていくこと、そして周囲をうまく巻き込む力があること。この3つこそが起業家精神だと思うんです。大企業でもベンチャーでも、本当はマインドは同じはずです。資金調達方法や社内政治などのプロセスが多少違うだけで本質的には変わらない。だから、大企業を変えるためには、このマインドを変えるというところが根本的なスタートなんです。
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斎藤 祐馬
トーマツ ベンチャーサポート事業統括本部長 1983年愛媛県生まれ。慶應義塾大学を卒業後、2006年にトーマツに入社。2010年にトーマツ ベンチャーサポートを事実上立ち上げた。公認会計士でもある。
※トーマツ ベンチャーサポートは、2017年9月1日より「デロイト トーマツ ベンチャーサポート」に社名変更しました。
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