トップインタビュー(第8回)凹んだ時期は新機軸で乗り切る

経営全般

公開日:2015.11.05

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にんべん社長 高津克幸氏

 「つゆの素」「フレッシュパック」などロングセラー商品を持つにんべん。競合が激化する中、「今のままではジリ貧」と飲食店など新事業に挑戦、海外展開も強化する。315年の歴史に磨きをかけ、「子どもに『素敵な会社』と継いでもらえる企業にしたい」と語る。

──にんべんは2010年10月、東京・中央区の商業施設内に新装開店した日本橋本店に「日本橋だし場(NIHONBASHI DASHI BAR)」というイート・イン・スペースを設けました。2014年3月には初の飲食店「日本橋だし場はなれ」も出店しています。「味わう」ことに主眼を置いたいわば飲食事業に進出したのはなぜですか。

高津:かつお節や加工食品の製造・販売を手掛ける我々の商品の核は、50年前に発売した「つゆの素」と45年前に発売した「フレッシュパック」です。これらの商品は今、メーカー間の競争やスーパーでの安売り激化で以前よりも収益環境が厳しくなっています。次の核がないままではジリ貧です。

 以前、にんべんの本社ビルには小売店舗がありましたが、ギフト需要がほとんどで客層は高齢化していました。バブル崩壊とともにギフト需要はどんどん減って週末には数十人しかお客様が来ない日もあり「これではいかん」と。次の核を生み育てるためにも、まずはお客様との接点を増やしたかった。日本橋地区の再開発を機に、とにかく知って触れて味わってもらおうと、新たに出した本店にイート・イン・スペースを設けました。

 だし場は思いのほか反響が大きく、若い方を含む新しいお客様を吸引するきっかけになりました。そこで次のステップとして昨年、飲食店に挑戦しました。

「食の乱れ」に危機感…

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高津克幸(たかつ・かつゆき)

1970年東京都生まれ、45歳。93年3月青山学院大学経営学部経営学科卒業。同年4月横浜高島屋(現高島屋横浜店)入社。96年4月にんべん入社。商品部、営業部、総務部、副社長などを経て2009年4月に社長に就任。

【T】

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