トップインタビュー(第36回)一瞬でコンセプトを伝えるために顧客接点を整える

経営全般

公開日:2018.03.29

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トリドールホールディングス 代表取締役 粟田貴也 氏

(写真:丸毛 透)

 業績絶好調の讃岐釜揚げうどん「丸亀製麺」をはじめ、国内外に1200店舗以上を展開するトリドールホールディングス。外食業たたき上げの経営者、粟田貴也・社長に、経営とデザインについて聞いた。

――粟田社長は、ビジネスにおけるデザインをどのように捉えていますか?

粟田:私は2つの意味でビジネスにデザインが必要だと考えています。

 まず、1人ひとりの仕事や人生において、「未来をこうしていこう」というビジョンや目標を描くこと、それ自体がデザインだと思います。非常に広義のデザインという言葉を使っていますが……。さらに、そのビジョンを皆で共有するとき、単に言葉の羅列ではなくて、より伝えやすく、共有しやすくビジュアライズしていくためにも、デザインの力が必要です。

 もう1つ、個々の店舗にブレークダウンしていくと、価値ある体験をどうデザインしていくかということがとても大事になってきます。

 外食は一番身近なレジャーです。世の中が豊かになり、単に食欲を満たす機能や利便性、安さだけではもはや外食業は消滅してしまうでしょう。店舗まで足を運んでもらうだけの意義や価値を提案できなければ先はありません。お客さまに楽しんでもらい、他では得られない「食の感動」を提供すること。それがもう1つのデザインだと思います。

 私が考える外食業の本懐──最も大事なことは、その場で手作りしていること、出来たてを提供することです。しかも、それを言葉で伝えなくても、お客さまが瞬時に感じることが大事なんです。

 よく思うんですが、夕日の美しさを伝えるのに理屈は必要ない。言葉による説明も必要ない。それを見れば美しいと分かるじゃないですか。人にはそういう感性があるんです。

 我々のコンセプトも、そういう感性に訴えるものでなければなりません。店に入った瞬間に伝わるもの。込み入った言葉でとやかく説明する必要がないもの。そういうメッセージを発信しなければならないんです。

――「丸亀製麺」以外にも業態の数はどんどん増えていますが、その考え方はすべてに共通しているんですか?…

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粟田 貴也 (あわた・たかや)

1961年生まれ。神戸市立外国語大学中退。学生時代に飲食業のアルバイトを経験し、1985年、焼鳥居酒屋「トリドール三番館」を創業。2000年に現在の主力業態「丸亀製麺」を立ち上げ。2006年、東京証マザーズに上場。2008年、東証一部に上場。現在、国内外に1200店舗を超える飲食店を展開。2025年に全世界6000店、売上高5000億円をめざす。

【T】

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