現状、企業内における無線LAN環境はどの程度整備されているのか。日経BPコンサルティングのアンケートシステムAIDAにて、同社保有の調査モニター1810人を対象に2015年10月にアンケートを実施した。
従業員数の多い企業ほど導入率の高い無線LAN
スマートフォン・タブレット・ノートパソコンといったスマートデバイスの業務活用が拡大している。それに伴って、業務効率化のためにオフィス内のワイヤレス環境整備も必要不可欠になりつつある。
アンケート結果によると、無線LANの導入率は52.4%で過半数に達しているが、企業規模によってかなり差が出ており、従業員の多い企業ほど導入率が高い傾向がある。従業員「99人以下」の企業は43.1%にとどまり、「300~999人」の企業では54.4%。「1万人以上」の企業では66.7%と高い導入率となっている。一方で「導入の必要性を感じていない」と回答している企業は、「99人以下」の企業が37.9%と高かった(図1)。
導入理由はオフィス美化とレイアウト変更の容易さ
無線LANの導入理由で圧倒的に多かった1位は、「オフィス美化やレイアウト変更・移転を容易にする」(48.7%)。この回答は、従業員数の多い少ないを問わず一番多かった。それに対して、2~4位は、従業員数によって異なる傾向となった(図2)。
全企業の回答では2位になった「ペーパーレス会議を行う」(21.8%)と、4位の「フリーアドレススタイルの構築」(19.9%)は、従業員数の多い企業のほうが、導入理由として選択率が高い結果となった。全企業回答で3位の「スマートデバイスの活用」(21.7%)は従業員1000人未満の企業のほうが導入理由として選択率が高かった。
無線LAN導入後の困りごとは「通信状況・品質の悪さ」…
無線LANの導入後に困っている点として、最も多かった回答は「通信状況・品質」(37.1%)だった。特に、従業員1万人以上の大企業では49.0%が、この点を課題として挙げている。2番目は、「セキュリティに不安がある」(28.9%)で、こちらは従業員300人未満の企業の選択率が高かった(図3)。
従業員99人以下の企業の回答で特徴的だったのは、「管理者がいない」を困りごととして挙げた回答が多かったこと。従業員100~299人以上の企業と比べても2倍以上になっている。
未検討、必要性を感じない理由は「有線で十分」「セキュリティが不安」
無線LANの導入を未検討または必要性を感じない理由は「有線の回線で事足りている」(42.1%)、2番目は、「セキュリティが不安」(36.2%)だった。この2つの回答が多く、3番目の「導入・運用コストがかかる」(19.1%)、4番目の「社内でモバイル活用をしない」(17.7%)を大きく引き離している(図4)。
有線で十分と考えている企業を除けば、セキュリティへの不安が無線LAN導入のハードルになっていることは分かった。それでは、無線LAN環境におけるセキュリティ不安とはどのような点だろうか。
「無線の電波の漏えい」(54.3%)と「部外者による不正アクセス」(53.5%)が僅差で1位と2位を占めた。いずれも過半数が心配している。セキュリティへの不安についての回答は、他の質問項目ほど従業員数による違いは見られなかった(図5)。
アンケート結果では、従業員99人以下の企業でも4割以上、それ以上の企業では半数以上がすでにオフィスに無線LANを導入している状況が明らかになった。ただ、その目的はオフィスの美化やレイアウト対策が多く、スマートデバイスの活用を主体に考えている回答は少なかった。
今後企業が、さらなるオフィスの業務効率や生産性向上を目指し、無線LANインフラを活用したスマートデバイスの導入を加速していくことに期待が寄せられる。
<本調査について>
日経BPコンサルティングのアンケートシステムAIDAにて、同社モニター1810人を対象に2015年10月に調査