企業における使用パソコンのOS更改状況、また日々のパソコン利用やOSアップデートに対し、どんな意識を持っているか。その実態について調査を行った。調査は、日経BPコンサルティングのアンケートシステムAIDAにて、同社保有の調査モニター3754人を対象に実施した。
7割がWindows10。Windows7使用も4割
勤務先で使用するパソコンのOSを聞いたところ、「Windows10」と回答したのは70.1%だった。まだ「Windows7」を使用しているのは40.9%。「Windows 8/8.1」使用も11.8%存在した(図1)。
【図1 会社で使用するパソコンのOSのバージョン(MA)】
WindowsユーザーにWindows10への移行に関し聞いたところ、Windows10ユーザーは、「必要だと思い、PCごと更改」が46.2%と最も多く、「必要だと思い、OSのみを更改」(20.4%)の倍以上のポイントとなった(図2-1)。また、Windows10にまだ移行していないWindowsユーザーは、「必要だと思い、PCを更改する予定」が27.1%で、「必要だと思い、OSのみを更改予定」より20ポイント以上高い結果となった(図2-2)。Windows10への移行はパソコンごと新しくする傾向が強く、特にこれからWindows10へ移行しようと思っている層は、OSのみの更改を予定する層よりも圧倒的に多いのが分かった。対応予定がない層も、「必要だと思うが予定なし」が7.4%、「必要だと思わず予定もなし」が4.5%と一定数存在した。だがWindows10への移行については91.9%が「必要」と回答した結果から見ると、ほとんどのWindowsユーザーが移行の必要性を感じているといえる(図3)。
【図2-1 使用するパソコン・OSの更改の状況(Windows10ユーザー)】
【図2-2 使用するパソコン・OSの更改の状況(WindowsXP/7/8/8.1ユーザー)】
【図3 Windows10への移行は必要だと思うか】
移行がまだなのは「サポートまで時間があるから」…
Windows10へまだアップグレードをしていない理由については「サポート終了まで時間がある」が、39.1%でトップとなった。次に「コストがかかる、予算が取れない」(18.6%)、ほぼ差がなく「会社から何も言われていない」(18.1%)が続いた。
これを事業規模別に見ると、「サポート終了まで時間がある」で最も高い選択比率となったのが、従業員数99人以下の企業(44.0%)だった。マイクロソフトのWindows7のOS延長サポート期限は、2020年1月14日だ。調査実施時点で残り約半年。OSを古いままにしておくリスクを考えると、早急な対応が望まれる。また、99人以下の企業では、「操作が変わるのが不安」と感じる比率も13.7%と、他の従業員規模よりも高い(図4)。移行後の環境がどのようになるか、周知の機会が必要かもしれない。
【図4 アップグレードをしていない理由(従業員数別・3MA)】
OSアップグレードを実施する上での課題は「システムとの連携」
それでは会社として、OSアップグレードに対し、どのような対応が必要なのだろうか。勤務先におけるOSアップグレードを実施する上での課題を聞いた。
最も高い回答比率となったのが、「先に社内システムを新しいOSに対応させる必要がある」(52.4%)、半数以上が選択した。2位の「アップグレード後の設定や、新しいOSに関する質問への対応」の24.8%と比較すると、倍以上のスコアとなった。ちなみにこの回答を従業員数別に見ると、99人以下の企業では33.3%、最も高い5000人以上の企業で70.9%、1万人以上の企業が67.1%と、従業員規模で顕著な差が出た。従業員規模が大きいほど、大規模な社内システムを入れているのが理由と考えられる。
【図5 OSアップグレードを実施する上での課題(従業員数別)】
OS問題に限らず、パソコン回りの困り事はつきない
パソコンを使用していて困ることは何か。トップ3は僅差で「エラーが出たとき、どうしたらよいか分からない」(31.9%)、「パソコンが故障した際のデータ消滅」(29.4%)、「パソコンが故障しても、すぐに新しいものを準備できない」(28.9%)が並ぶ結果となった(図6)。
【図6 パソコンを使っていて困ること】
業務をしている際のパソコン回りの環境や困り事は、従業員の立場からすると「会社に聞いて解決したい」と思いがちだ。だが、すべての会社が、そうしたリテラシーの高い社員や部門を抱えられるわけではない。多くの業態において、もはやパソコンはなくてはならないツールなのは言うまでもない。OSのアップデートに限らず、パソコン回りの困り事に対する“バックアップ体制”を取っていなければ、問題が起こり業務を止める事態になりかねない。身近で必須なツールだからこそ、安心して運用できる“備え”を講じておくべきではないだろうか。
<本調査について>
日経BPコンサルティングのアンケートシステムAIDAにて、同社モニター3754人を対象に2019年6月に調査