弁護士が語る!経営者が知っておきたい法律の話(第5回)派遣社員の採用前に知っておきたい5つのポイント

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公開日:2015.08.10

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 今や企業を支える重要な労働力になりつつある「派遣労働者(派遣社員)」。企業側としては、必要な人材が必要な時に確保できたり、派遣企業が労務管理を行うことで手間が省けるなどのメリットがあります。企業によっては、正社員以上に活躍しているところもあるかもしれません。

 しかし、注意をしなければいけないのが、派遣労働者には「労働者派遣法」という、正社員にはない法律が背後にあることです。これを見逃して正社員と同じように扱おうとすると、思わぬ落とし穴に落ちてしまうことがあります。しかもこの労働者派遣法は、このところ改正が検討されており、その動向が注目されています。

 今回は、企業と派遣労働者との理想的な付き合い方を考えてみましょう。

派遣労働者は、あくまで派遣「元」の社員

 まずは、派遣労働者の基本的な仕組みを確認してみましょう。派遣労働者は、派遣元(派遣労働者を派遣する企業)と労働契約を締結し、派遣元から賃金をもらいます。しかし、派遣元が派遣契約を締結した派遣先(派遣労働者が派遣される企業)で仕事を行い、派遣先から業務の指示を受けます。

 正社員など通常の労働形態の場合、労働契約の相手と業務の指示を受ける相手は同じです。しかし派遣の場合には、労働契約と指示を受ける相手方が異なります。これが派遣の最大の特徴です。

 そのため、たとえば派遣先の指示に反した場合でも、懲戒処分を行えるのは派遣元だけです。また、 労働基準法労働契約法労働安全衛生法などの労働関係法についても、基本的には派遣元が責任を負います。派遣先は業務の指示を行い、就業場所を管理していることから、一部の責任を負うにすぎません。

 業務内容についても、派遣労働者は派遣元との契約において定められている就業条件等の範囲内でのみ、派遣先の指示に従う義務を負います。そのため派遣先は、派遣労働者に対し、前記就業条件等を無視し、自社の社員と同じように指示をすることはできません。

 有給休暇の場合も、派遣先ではなく、派遣元の事業の運営に支障がでるかどうかで判断されます。そのため、派遣先の業務が多忙というだけで、派遣労働者の有給休暇を拒否できません。

 派遣労働者からの苦情も、派遣元、派遣先に置くこととなっている苦情処理担当者が連携のうえ、対応をするとされています。

 派遣労働者は労働者派遣法によってこのように規定されているため、派遣労働者の管理には派遣元と派遣先との緊密な連携が求められます。派遣労働者の採用を検討する際には、まずこのような違いについて意識することが必要でしょう。

派遣労働者は派遣労働者としてずっと働き続けられない?

 では、派遣労働者の業務内容や契約期間についてはどのような特徴があるのでしょうか。

 派遣労働者が働いている企業は多いと思われますが、実はすべての業務について、派遣労働が許されているわけではありません。…

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本間 由也

こだまや法律事務所 代表弁護士 /税務調査士

1982年生まれ。2004年明治学院大学法学部法律学科卒業、2007年明治学院大学法科大学院法務職研究科法務専攻卒業。翌2008年に司法試験合格。紀尾井町法律事務所での勤務を経て、2011年1月法テラス西郷法律事務所初代所長に就任。2014年2月こだまや法律事務所を東京都国分寺市に開所、現在に至る。

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