ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
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公開日:2018.03.30
事業承継のトラブルに同じものはなく、個別事情が介在する難しさ、法務・税務・会計の横断的な判断が必要となる難しさがあります。また、事業の価値や税金関係が問題となることはいうまでもありませんが、特に中小企業にとっては、過大な借り入れや連帯保証の存在が、事業承継の大きなハードルとなることが少なくありません。
今回は、多額の連帯保証債務を抱える中小企業経営者が事業を承継していくに当たって留意すべき点を、「経営者保証ガイドライン」の紹介を交えて解説します。
中小企業庁の公表資料によると、日本の中小企業は、2025年には70歳を超える経営者が約245万人に達する見込みとなっています。しかも、その約半数の経営者は後継者が未定であるとしています。まさに「大廃業時代」の到来です。
こうした廃業を回避する対策の1つとして、政府は2018年度税制改正において「事業承継税制」の抜本的拡充を打ち出しました。中小企業の株式の贈与、相続、遺贈による税負担を実質ゼロにするという驚くべき内容です。事業承継を考えている中小企業経営者にとって必ずチェックしておくべき制度といえます。
本制度の詳細な説明は税理士に任せることといたしますが、いずれにしても利用するには事業を継ぐ者がいることが大前提となります。しかし、黒字企業であっても事業を継ぎたい若者がいない、という現実があるので、税負担がなくなるからといってすぐに事業承継が円滑に行われるようになるかは疑問です。なぜ、事業を継ぎたい若者がいないのか。その大きな要因は経営者の連帯保証の存在です。
中小企業の8割超は、会社が受けた金融機関からの借り入れについて、経営者が連帯保証しているといわれています。金融機関が融資するに当たって経営者に個人保証を求めることは日常的です。そうした連帯保証しなければ融資が受けられない現実に直面し、やむなくこれに応じてきたという中小企業経営者の方がほとんどなのではないかと思われます。
住宅ローン程度である個人の債務とは異なり、中小企業とはいえ事業関係の債務は多額になることもあり、それを経営者個人が連帯保証するということは、どんなに経営状況が順調でも、大変な重圧であることは想像に難くありません。
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執筆=後藤 孝典
弁護士 虎ノ門後藤法律事務所(弁護士法人虎ノ門国際法律事務所)代表
http://www.toranomon.com
名古屋大学法学部卒、ハーバードロースクールリサーチフェロー。チリのアニータに対する豪邸競売(県側代理) 。日本企業再建研究会主宰。事業承継ADR理事長。主な著書に「債務超過でもできる会社分割」(かんき出版)。8話の物語「会社の相続 事業承継のトラブル解決」(小学館2018年2月発行)
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