弁護士が語る!経営者が知っておきたい法律の話(第49回)トラブルなく防犯カメラを運用するには?

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公開日:2018.10.29

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 近年、中小企業の事業所でも防犯カメラを設置することが珍しくなくなっています。出入り口だけではなく、店舗や工場、事務所の内部に設置する事例も増えてきています。そうした際に、トラブルなく防犯カメラを運用するには、どのような点に注意すればよいでしょうか。法律上の取り扱いと、店舗などで顧客を撮影する場合や従業員を撮影する場合の注意点について説明します。なお、今回の解説は、防犯目的のみでの撮影行為が対象です。

カメラ画像をデータベース化する場合は保有期間に注意

 企業が個人情報を取得する際には、原則として個人情報保護法が適用され、取得の目的をあらかじめ店頭やホームページ上などで公表しておくか、取得後速やかに被撮影者に通知または公表する必要があります。カメラで個人を特定できる画像(動画を含みます。以下同じ)を撮影する行為も個人情報の取得に当たりますので、上記対応が必要となります。

 もっとも、防犯カメラで撮影した画像を防犯目的のみで利用する場合には、取得の状況から見て利用目的が明らかであるため、通知または公表は不要と解されています。なお、防犯カメラで撮影していることや撮影主体が分かりづらい場合には、それらの事実を店舗や建物の入り口などに掲示するのが望ましいといえます。

 さらに、店舗の出入り口部分などに防犯カメラを設置し、路上の通行者なども映ってしまう可能性がある場合、被撮影者が容易に撮影の事実を知ることができるよう、認識しやすい場所に分かりやすく掲示するなどして、適切に通知または公表をすることが重要です。また、公道などのパブリック空間を撮影する場合、自治体によっては設置などに関する条例を定めていることもあり、注意が必要です。

 防犯目的で撮影したカメラ画像をデータベース化して保存するケースはあまりないと考えられますが、そのような取り扱いをする場合には、注意が必要です。例えば、個人情報保護法の観点からは、第三者へデータを提供する際に原則として被撮影者本人の同意が必要になります。さらに、データベース化したものについて6カ月を超えて保有する場合、原則として、被撮影者からの開示請求などに対応する義務があります。

 被撮影者本人との関係では、プライバシー権や肖像権(本人の承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない権利)との関係が問題になります。これらの権利との関係では、一般に侵害行為があった場合でも、社会生活上受忍の限度を超えない限りは、撮影行為は違法とならないとされています。そして、無断で第三者に公開することなく、個人情報保護法に関するものと同様の取り扱いを適切に実施していれば、特別な事情がない限り、違法と評価されるリスクは低いと考えられます。

店舗内の顧客の犯罪行為などを撮影したら…

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執筆=渡邊 涼介

光和総合法律事務所 弁護士
2007年弁護士登録。元総務省総合通信基盤局専門職。2023年4月から「プライバシー・サイバーセキュリティと企業法務」を法律のひろば(ぎょうせい)で連載。主な著作として、『データ利活用とプライバシー・個人情報保護〔第2版〕』(青林書院、2023)がある。

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