弁護士が語る!経営者が知っておきたい法律の話(第56回)施行迫る民法改正、売買契約への影響を確認

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公開日:2019.05.22

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 2017年5月に民法の一部を改正する法律が成立し、一部の規定を除いて2020年4月1日から改正された民法(以下:「新法」)が施行されます。民法は、日常生活や取引活動に関する基本的なルールを定めた非常に重要な法律です。今回、それが約120年ぶりに大幅に改正されたのですから、かなりのインパクトがあります。施行まで1年を切りました。改正点について、今回は、売買契約を中心に再確認します。

 今回の改正では、時効に関しさまざまな改正がなされました。まずは消滅時効について解説しましょう。従来は債権の消滅時効は原則的に10年間、商取引だと5年間といった期間に違いがあるほか、職業別短期消滅時効といったさまざまなルールがありました。

 新法では、こうした時効期間のルールが統一化されました。消滅時効について、債権者が「権利を行使することができる時から10年間行使しないとき」、「債権者が権利を行使できることを知った時から5年間行使しないとき」のいずれかの場合は,債権は時効によって消滅すると改正されます(新法166条1項)。

 例えば、従来は売買契約で代金支払日が定められていれば、売り主の買い主に対する代金支払請求権については、原則として代金支払日から10年間は消滅時効にかかりませんでした。新法では、売り主が売買契約書の記載などで、代金支払日を知っている場合は、代金支払日から5年間を経過したら代金支払請求権が消滅時効にかかることになります。

 このように、民法の改正により、消滅時効にかかる期間が変わってしまうケースもありますから、今後は日常の各取引について、時効期間に変化がないかチェックするとともに、消滅時効にかけないために時効を管理することが必要になってきます。

債務不履行による契約解除についても改正される…

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執筆=近藤 亮

近藤綜合法律事務所 弁護士(東京弁護士会所属)
平成27年弁護士登録。主な著作として、『会社法実務Q&A』(ぎょうせい、共著)、『少数株主権等の理論と実務』(勁草書房:2019、共著)、『民事執行法及びハーグ条約実施法等改正のポイントと実務への影響』(日本加除出版:2020、共著)などがある。

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