ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2019.10.21
いわゆる「働き方改革関連法」では、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者) と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消をめざして、“同一労働同一賃金”が導入されます。施行は、2020年4月1日からとされていますが、中小企業(資本金の額または出資の総額が3億円以下である事業およびその常時使用する労働者の数が300人以下である事業主)では2021年4月1日からとされています。
ただし、派遣社員に関しては、2020年4月1日、同一労働同一賃金が盛り込まれた改正派遣労働者法が施行されます。こちらは規模による施行時期の違いはありませんから、注意が必要です。来る改正労働者派遣法への対応も含めて、派遣社員を雇う場合の現状の注意点について、説明します。
最初に、改正法施行前の、現時点(2019年10月)において派遣社員の雇用に問題がないか、次の項目をチェックしてください(厚生労働省ウェブサイト「派遣社員を受け入れるときの主なポイント」参照)。
ア)派遣可能期間が3年を超えていないか。
派遣先の同一の事業所に対し派遣できる期間(派遣可能期間)は、原則3年が限度です。 派遣先が3年を超えて派遣労働者を受け入れようとする場合は、派遣先事業所における過半数労働組合(過半数労働組合が存在しない場合、事業所の労働者の過半数を代表する者)の意見を聞く必要があります。
イ)派遣契約の締結に当たって、次の事項を満たしているか。
➀ 派遣労働者への事前面接は行っていない。
➁ 派遣禁止業務への派遣受け入れではない。
➂派遣契約に定めるべき事項はすべて網羅している。
➃ 派遣元事業者が労働者派遣事業の許可を有している。
ウ)派遣就業に当たって、次の事項を満たしているか。
➀ 自社を離職して1年以内の人の受け入れではない。ただし、60歳以上の定年退職者は禁止対象から除外されている。
➁ 社会・労働保険の加入の確認をしている。
➂ 派遣先責任者の選任、派遣先管理台帳の作成を行っている。
➃ 派遣労働者と派遣先社員の均衡待遇に関する配慮義務を理解している。
エ)派遣契約の中途解除に関して次の注意事項を満たしているか。
➀ 派遣先は派遣元事業主の合意を得ることはもとより、あらかじめ、相当の猶予期間をもって派遣元事業主に派遣契約の解除の申し入れを行うことが必要。
➁ 派遣先は派遣先の関連会社での就業をあっせんするなど、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることが必要。
オ)労働契約申込みみなし制度についての確認
派遣先が偽装請負など一定の違法派遣を受け入れた場合、その時点で派遣先から派遣元事業主との労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約が申し込まれたものと見なされます。派遣労働者が承諾をした時点で労働契約が成立します(派遣先が違法派遣に該当することを知らず、かつ知らなかったことに過失がなかったときは除かれます)。
以上に問題がなければ、現時点では適切に派遣社員を活用していることになります。しかし、それで安心してはいられません。次に同一労働同一賃金を盛り込んだ改正労働者派遣法に対応しなくてはなりません。
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執筆=渡邊 涼介
光和総合法律事務所 弁護士
2007年弁護士登録。元総務省総合通信基盤局専門職。2023年4月から「プライバシー・サイバーセキュリティと企業法務」を法律のひろば(ぎょうせい)で連載。主な著作として、『データ利活用とプライバシー・個人情報保護〔第2版〕』(青林書院、2023)がある。
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