ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2019.12.16
取引先が売掛金を支払ってくれなかったことや、お客さんに代金を踏み倒された経験がある企業は少なくないと思います。こうした場合には当然、お金を支払ってくれという権利はあります。ただ、権利があるといっても、債務者が任意に払ってくれないのであれば、最終的には裁判などの法的手続きにより債権回収を進めるしかありません。これに対して非常に影響を及ぼす法改正がありました。
2019年5月10日、民事執行法の一部を改正する法律が成立しました(以下:「新法」)。新法は、一部の規定を除いて2020年4月1日から施行される予定です。民事執行法という法律は聞き慣れないかもしれませんが、例えば裁判で勝訴したにもかかわらず、債務者が債務を履行してくれない場合には民事執行法に従って強制執行をしますので、いわゆる債権回収には深く関係する法律です。
債権回収を進めるには、まずは裁判などの手続きにより、法的に権利があることを確定する必要があります。ただ、裁判で勝訴したとしても債務者からの支払いが確約されるわけではなく、任意に支払ってくれない場合もあるでしょう。そのような場合は、確定した判決などに基づいて強制執行する必要があります。例えば、金融機関に対する預金債権の差し押さえや不動産の差し押さえが強制執行の代表的な例です。
強制執行をするには、債権者の方で債務者の財産を特定しなければいけません。例えば、預金を差し押さえる場合はどこの金融機関の何支店に口座があるか、不動産を差し押さえる場合には所在や地番などを特定しなければならないのです。運よく債務者名義の口座や所有不動産が判明している場合はよいのですが、仮に判明していない場合は裁判で勝訴していたとしても、執行することができず、結局は絵に描いた餅になってしまいます。しかしながら、債権者にとって債務者の財産を特定することは容易なことではありません。
従来このような問題点が指摘されていたため、今回、債務者の財産を開示する手続きの強化だけでなく、債務者以外の第三者から債務者の財産に関する情報を取得できるようになるなど、債権回収の実効性が高まる複数の改正がされました。
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執筆=近藤 亮
近藤綜合法律事務所 弁護士(東京弁護士会所属)
平成27年弁護士登録。主な著作として、『会社法実務Q&A』(ぎょうせい、共著)、『少数株主権等の理論と実務』(勁草書房:2019、共著)、『民事執行法及びハーグ条約実施法等改正のポイントと実務への影響』(日本加除出版:2020、共著)などがある。
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